オークの賢者: 異世界転生されたけど、転生者が俺を受け付けないので二重人格みたいになりました

リチャード江藤

第一章 前世の記憶

第1話 7歳 10月28日の夜 酒を飲みすぎる

 プハア!

「猪人に生まれて良かったあ!」

 と言いながら胡坐をかいた大柄な幼馴染が一気に飲み干した空の木のコップを低く丸いテーブルに叩きつけるように置いた。

「そのとーり! 酒が旨けりゃ、飯も美味いし、ここは平和、って、うがああああ!」

 なんだこれ、頭が割れるように痛い、痛い、痛い、痛い。

「おい! 大丈夫か?!」

 その時最後に見たのは下顎から立派な牙を生やし、鼻がほんのり上向きな丸顔のオークが目を丸くして驚いている顔だった。長年一緒にいるが、そのビックリした顔は毎度笑えるぞ、って、痛い、痛い、痛い。

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