こうして男は浮気する

紅ピカ

第1話 告白

大学1年生だった当時。俺(山田(仮名))はアルバイト先の本山(仮名)先輩に恋をした。


本山先輩はおっとりとした性格で、バイト仲間からは「天使ちゃん」と呼ばれるほど可愛らしい笑顔の似合う女性だった。


本山先輩が困っていたら男女問わず「何か困りごと?」と駆けつけられるほど、幼さが残る小柄な女性だった。


俺はキレイな人より可愛らしい人の方がタイプなので、本山先輩はドストライクだった。


どのタイミングで告白しようか迷っていた。ただ、告白の仕方は決めていた。

告白は「口頭でしよう」と決めていた。なぜなら、本山先輩はバイト仲間との会話の際中「異性と付き合ったことがない」ことを知った。嘘かほんとかは当時考えなかったが、俺は口頭ですることにより断りづらい雰囲気を出し、成功率を上げようと思ったのだ。



その日は突然訪れた。


その日俺は店の締めを任せられていたが、まだバイト歴も短く、一人で店の締め作業をこなせるか、不安に思われ、最終チェック係として本山先輩が残ることになったのだ。


俺は、今日しかない。と決めた。


締め作業をしている際中、俺の頭の中は、どんな言葉で伝えようか。そのことしか考えられなかった。



締め作業が終わり、控え室に残っていた本山先輩を呼びに行く。


「本山先輩。締め作業終わりました。確認お願いします。」


「はーい。じゃあ見てくるねー」


締め作業の点検はすぐに終わる。俺は直前まで悩んでいた告白の台詞を決め、次に本山先輩の顔を見たときに告白する!そう決意した。


「うん!ちゃんと全部できてたよ。完璧!」


「よかったです。まぁでも、本山先輩とか色んな人の締め作業見てたので思ったよりは簡単だったかな(笑)」


「山田くんは仕事覚えるの速いね。」


「そうですかね(笑)。それより、俺のせいで帰り遅くなってすみませんでした。」


「ん?何が?あー最終チェックのこと?大丈夫だよー」


しばらく間があり、俺は心臓が口から吐き出そうな緊張の中、告白することにした。


「あの・・・本山先輩。」


「ん?なーに?」


「好きです。急にこんなこと言われて困ると思うんですけど、本山先輩の働いている姿を見て告白しようと決めました。年下で頼りないかもしれませんが、俺と付き合ってくれませんか!」


言い終えると同時に右手を前に出す。


「えぇ!急にどうしたの?好きって・・・」


「はい!好きです。本山先輩のことが。俺と付き合ってくれませんか!」


しばらくの間があり、本山先輩が告げる。


「えっと、私付き合った経験ないから、色々迷惑かけちゃうかもよ?」


「大丈夫です!迷惑とかそんなことも含めて俺を頼ってください!」


本山先輩は迷っているようだった。

1秒がこんなにも長いと感じたのは生まれて初めてだった。


時間にしておよそ15秒だろうか。判決の時は来た。


本山先輩は俺の右手を優しく握った。


「不束者ですが、よろしくお願いします。」


そう言ってニコッと微笑んだ。

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