言の葉の守人
@eikoku--
第1話
本の閉じられる音が部屋に響く。
「いい話だったね」
また、ひとつの世界が終わりを迎えた。
「残酷で、儚くて、美しい物語だった」
ありきたりなお伽噺だ。
「次はどれにしようか」
語り
「時間はたっぷりあるからね」
本に囲まれたこの部屋にただひとり存在を許された。
「次はハッピーエンドがいいね」
無限に存在する世界を守り、語り継ぐために。 「バッドエンドも嫌いではないけど」
終わった世界を死なせないために。
「それだと報われないからね」
また、この部屋でひとり
「さぁ、始めようか」
世界を読み進める。
言の葉の守人 @eikoku--
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