言の葉の守人

@eikoku--

第1話

本の閉じられる音が部屋に響く。  

「いい話だったね」

また、ひとつの世界が終わりを迎えた。

  「残酷で、儚くて、美しい物語だった」

ありきたりなお伽噺だ。

  「次はどれにしようか」

語りテラーは笑う。  

「時間はたっぷりあるからね」

本に囲まれたこの部屋にただひとり存在を許された。

  「次はハッピーエンドがいいね」

無限に存在する世界を守り、語り継ぐために。   「バッドエンドも嫌いではないけど」

終わった世界を死なせないために。  

「それだと報われないからね」

また、この部屋でひとり

  「さぁ、始めようか」

世界を読み進める。

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