高嶺さんはお姫様!?

黒崎ぁずま

〜第1話〜 転校生はお姫様

「はじめまして、高嶺優里子たかねゆりこと申します。よろしくお願いしますね」


そう言ってニコリと微笑んだのは、転校生の高嶺さん。


「え〜…それじゃあ、高嶺は佐藤の隣だ。佐藤、高嶺と仲良くするように!」


担任がそう言うと、高嶺さんはその微笑みを崩さぬままこちらへ上品に歩き出した。佇まいがまるでお姫様のようで、思わず肩を竦めてしまったけれど。


「あ…えっと、佐藤です。よろしくね」


俺がそう言うと、高嶺さんは


「うふふ、よろしくお願いしますね」


とまたあの微笑みを見せた。



転校生、かあ…しかも女子。


もしかして、俺にも恋愛のチャンス、あったりする?



そんな儚い期待を胸に抱きながら、授業を受けた。


■+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+■


しばらく授業を受けていると、高嶺さんがちょんちょんと俺の制服を摘んだ。


「申し訳ありません。教科書をまだ頂いていないので、見せていただけると嬉しいのですが……」


丁寧な言葉で俺に教科書を見せてくれ、と頼む高嶺さん。少し上目遣いで、綺麗な顔立ちからか、やはり美しかった。


「あ、いいよ…」


そっけないぶっきらぼうな返事をしたと自分でも思うが、こんな状況で平静を装うなんて無茶な話だ。


まあ、できる人は出来るのだろうけど。



「はい、どうぞ。見れる?」


「はい、本当にありがとうございます」



高嶺さんはにこり、と可愛らしい笑みをこちらに向けた。



もちろん、まともに女子と接したことの無い俺は、授業中のことなんて頭に入ってくるわけもなかった。

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