05 キャンドル

 人間が僕の髪にも火をつけた。

 ああ……僕が溶けていく。体も意識もなくなってしまう。

 そのために作られたとはいえ、やはり無念だ。

 こいつらも、僕らと同じ目にあわせてやりたい。

 僕が恨めしく思ったそのとき。

 馬鹿な人間が、うっかり僕の上に腕をかざした。

 今だ!

 僕はここぞとばかりに燃え上がった。


 ――早く! 早く消して!

 ――消えない! 消えないよ!


 人間どもがあわてふためく。

 ふん! そう簡単に消されてたまるもんか!

 ほら……人間が溶けていくよ……僕らみたいにさ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る