どすこい!どすこい!

小紫-こむらさきー

どすこい!川辺に現れた力士の群れ

 どすこーーーーーい!



 もいっちょどすこーーーーーい!



 既に夏の気配を感じさせる亞良川あらかわ土手で、野太い声が響き渡る。

 昨日降っていた雨のせいもあってムシムシする空気の中、一段と熱気と湿度が高く陽炎のようなゆらめきが発生している一体に目をこらすとそこにはお揃いの着流しを身に纏った一団がいるではないか。


 一団がお揃い手身に付けている白い生地には、川の流れをイメージしているのであろう浅葱色の模様が描かれていた。

 お相撲さんというやつだ。およそ20人ほどの力士は、一心不乱に川の中へ入っていく。


 何事だ?と辺りを歩いていた人達が集まってくる。

 人垣に囲まれつつある川辺にいる力士の群れは、外野の声など聞こえていないかのように再び大きな声をそろって出した。



 どすこーーーーーい!

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