第47話 キス大会


祭りの終わり。

お祭りを十分に楽しんだ。

楽しんだのはお祭りか?


「じゃあ、さよならのキス大会を開催します」


女性陣が僕の前に並ぶ。

まずは遙。


「今日は楽しかったです。また僕とお祭り行ってください」


遙の唇にキス。そして舌入れ。さらに吸引。ねっとりと。


「うほー、キスしちゃった。もうお嫁に行けない」




次は真紀。


「今夜の真紀はいつも以上にセクシーです。僕はやられちゃいました」


真紀の唇にキス。そして舌入れ。さらに吸引。ねっとりと。


「いつだってキスしていいんだよ。遠慮しなくていいからね」




次は明子さん。


「清楚な明子さんの透き通るような肌にドキドキが止まりませんでした」


明子さんの唇にキス。そして舌入れ。さらに吸引。ねっとりと。


「私もいつでもキスしていいから。あ、将来の練習だからね」




最後に由香。


「いつも僕と一緒にいてくれてありがとう。ずっと一緒だね」


由香の唇にキス。そして舌入れ。さらに吸引。ねっとりと。


「……バカ。嬉しい」


おい、お前なんで泣いてるんだ。

突然涙を流す由香の頭を撫でてあげる。

いいこいいこ。


「由香ちゃんはずっと一緒って言ってもらえたのが嬉しいんだよ」


真紀に言われたが、今までもずっと一緒だったぞ?

みんなにやっぱり真尋くんはバカだと言われてしまった。

なぜだ!?




キス大会が終わった時に視線を感じ振り返った。

そこにはトイレ前の男性がいた。

キス大会を見ていたらしい。

サムズアップしてくれた。


「少年よ、あるがままに進め」


僕もサムズアップ!


「はい!あなたの助言を心に刻み生きていきます。あなたに希望の未来がありますように」


僕たちは心の友になったのである。

ちなみにキス大会はうちの学校の生徒にも見られており、鬼畜野郎の許しがたい所業と語られる事のなる。






祭りの日の深夜


「まーくん、一緒に寝よ」

「え、暑いからやだ」

「私の部屋でキンキンに部屋を冷やすよ」

「マジか、行く。寝るぞ。今夜は由香と寝るぞ」


電気をけして横になる2人。

部屋はかなり冷えてるので薄い布団をかけて寝る。


「お、由香。雪山ごっこだ」


服を脱いで布団に入った。

もちろん由香のパジャマは剥いである。

由香の体温がダイレクトに伝わってくる。

あったけー。


「お祭り楽しかったね」

「由香の浴衣姿よかったぞ。すごく可愛かった」

「ありがと。きょうはくっついて寝ていい?」

「いつもくっついてるけどな」


由香のお尻をナデナデしながら答える。

今日は疲れたからすぐに寝れそうだ。

体を傾けて由香の胸の谷間に顔を埋めて眠る。


「「おやすみなさい」」


あれ、由香なにも言わないぞ。

ま、いいや。甘い香りに包まれて寝よう。

いい夢見れそうだ。







とある夏休みの夜。

ラインでの緊急招集。


大津「みなさん参加して頂きありがとうございます」

宮原「大丈夫です」

稲川「平気だよー」

小林「大丈夫ですよ」

大津「実はちょっと時間を作ってもらえないかと思いまして」

稲川「時間?」

小林「会うってことかな?」

大津「はい」

宮原「いつかな?」

大津「明後日はどうでしょうか」

稲川「OK」

小林「了解」

宮原「平気」

大津「では、明後日の午前10時に駅前でいいですか?」

小林「行くね」

稲川「はいはいさー」

宮原「わかりました」

大津「突然すいません」

宮原「用件は?」

小林「何となくわかるけどねー」

稲川「え、何?」

大津「相談事です。直接話をさせてください」

宮原「ええ、いいですよ」

大津「私もそれがいいと思う」

稲川「なんかよくわかんないけどいいや」

大津「では、後日。おやすみなさい」

宮原「おやすみなさい」

小林「おやすみ」

稲川「おやすみー」


 




会合当日10時駅前


「みなさんおはようございます、遅れてゴメンナサイ」


集合時間ちょっと前に着いたのに、もう3人とも揃っていた。


「まだ時間前だからいいよー」


稲川さんが大丈夫と言ってくれた。

落ち着いて話ができる場所に移動。

駅前通りの1本裏にある落ち着いた雰囲気の喫茶店に入った。

飲み物を注文し一息つく。

店員さんがすぐに飲み物を持ってきてくれた。

さぁ、ここからが本番だ。

気合い入れなきゃ!


「まず、みなさんにお伝えしたいことがあります」


真剣な表情の3人。じっとこちらの様子を伺っている。


「私、大津明子は前川真尋さんを好きになってしまいました」


3人は黙って聞いてる。


「みなさん3人はすでに真尋さんの恋人ですが、どうか私も真尋さんを好きになることを許してください」


宮原さんが口を開く。


「まーくんと私たちは別に付き合ってるわけじゃない。誰が誰を好きになるのも勝手だよ」


宮原さんのあっさりとした反応。

小林さんの反応は、


「知ってた。キャンプの時にやられてたね。なんで好きになったの?あ、責めてるんじゃなくて、真尋くんのどんないい所にやられちゃったのかなって」

「真尋さんは、私個人をみて褒めて優しくしてくれます。彼と話していると不明確だった自分がはっきりしていきます。自分に自身が持てるようになりました。きっかけを作ってくれた真尋さんにはとても感謝しています」


ここで1度言葉を切る。


「そんな真尋さんを見ているうちに、徐々に引かれていったんだと思います。気がついたら彼の事をばかり考えるようになりました。彼の言葉の一つ一つが、私の中で大きくなってしまいました」


飲み物を口に含む。


「すでにみなさんは真尋さんとかなりの仲だと思います。そんな中に割り込ませてもらう形になります。私も彼の事を諦めることはできません」


3人に頭を下げた。


「どうか真尋さんを愛することを許してください」


私はただ頭を下げる。

3人と1人でうまくやってた仲を乱すことになると思う。

でも、好きになってしまった。

そう気づいてしまった。

もう後戻りはできないくらい好き。


「別にいいんじゃないかな」


小林さんが答えてくれる。

稲川さんも、


「大津さんは真尋くんも気に入ってるみたいだしねー」


宮原さんが一番の問題だ。

彼女は真尋さんの間には普通じゃない絆がある。


「さっきも言ったけど、人を好きになるのに、私たちの許可はいらないよ」

「それでも、話しておきたかった。せっかく仲良くなった友達だから」


……しばらくの沈黙。


「もう、顔上げて。別に怒ってないし嫌いでもない」


宮原さんが私の顔を見ながら言う。


「本当にまーくんはすぐ女の子を口説く」


小林さんが続く。


「知らないあいだにね。本人に自覚もないし」


稲川さんも。


「いつのまにかやられちゃうんだよねー」

「私たちがいくつか決めたルールは、抜け駆けはOK。ただし、まーくんを裏切らない事」


宮原さんは答えてくれた。


「真尋くんが選んだ人を祝福する事」


稲川さんが答えてくれた。


「爛れた生活は送らない事」


小林さんが答えてくれた。


最初の2つはわかるけど最後の意味は?

その問いに宮原さんが答えてくれた。


「まーくんはサルになります。体を許したら平気で24時間耐久SEXします。学校行かなくなります。なので節度をもって攻略してください。お互いの為にも」


なるほど、確かにその気はあるかも。

注意しないと。

宮原さんは続ける。


「これが私たち3人の取り決め。どう?大津さんも約束できるかしら?自主ルールだからね。多少の融通は利くけどね」


私は彼女たち手を差し出し、


「よろしくお願いします。みんな強敵だけど負けません」


3人と笑いながら握手をした。





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