第38話 虫の襲撃


 

次の日の朝


昨日は最高の夜だった。

雄介たちはまだ寝てる。

どれだけ疲れてるのか。泳ぎすぎだ。

リビングでは女性陣が食事の支度をしていた。


「おはよう、みんな」


なぜか顔が赤くなってる子もいるが普通に挨拶をする。

知らん振りしたほうがいいだろう。

女性陣もおはようを普通に返してくれた。


「おはよう、他の男子は?」


大津さん。やつらまだ起きないです。

よっぽどはしゃいで泳いだんだよ。


「そうみたいね。でもそのおかげでみんなで露天風呂は入れたから結果オーライかな。なーんて」


楽しそうに話してくれる。可愛いじゃないか。

大津さんの昨夜の姿を思い出すとテンション上がるぜ。




朝食が完成したので、他の男性陣を起こしに向かう。


「朝御飯だぞー。女の子の手作りだよ。起きない人の分は僕が食べちゃうからね」


3人とも一瞬で起きた。

すごいな、手料理の力って。

  

「「「いただきます」」」


みんなで食べるご飯はいいね。

ご飯・味噌汁・卵焼き・焼肉・サラダ・果物。

一部、朝から食べるものじゃないメニューもあったよ。

でも美味しいからOKです。


食後にコーヒーを貰い休憩をした。

あとは片付けして出発するのみ。


帰りはキャンプ場のそばにある湖に寄ってから帰る。

湖ってボートとかあるのかな。

雄介に確認してみた。


「ボートかぁ、あったような気がするがどうだっけ。ボートって白鳥?足で漕ぐやつだろ?」


そう、白鳥に乗りたい。


「まぁ、行ってからのお楽しみでいいじゃないか」


そうか。お楽しみか。

期待しよう。




キャンプ場から歩いて5分の場所に湖がある。

湖にはいくつかの貸しボート屋があり、白鳥ボートもあった。

 

「スワンだ!スワンがいる!本田!あれ行くの?いや、むしろ行け!!」


遥、大興奮である。


みんなで早速乗った。

白鳥ボートは3人乗り。


「はい、ではボートの組み分けをします。公平にくじで決めます。文句は受け付けますが変更はありません」

 

雄介はマメだな。

顔も悪くないし、リーダーシップあるのになぜ彼女できない。

 

決まった組み合わせは、


本田・大津・稲川

前川・宮原・江藤

小林・安藤・小島

岡本・松木


おい、文句言うぞ!

由香はいい。でもなんっで3人中2人が男なんだ。

いや、3人とも男よりかはいいのか?

 

「由香ちゃん、両手に薔薇」


遥よ、薔薇とか言うな。ホモっぽく聞こえるから。

くじだししょうがない。



白鳥に乗り込んだ。

真ん中の席が楽だから僕は真ん中に座りたかった。

体力ないし。

でも忠が由香に真ん中を勧めてたので我慢した。

由香は僕が座りたがってるのを察していた。空気を読める僕は真ん中を辞退した。


「湖の上は風があって気持ちいいね」


いや、それはお前だけだよ由香。

両脇の俺たちはペダル漕いでるからな。めちゃくちゃ疲れるよ。


「宮原さん、写真撮っていい?」


忠くん、積極的だな。

空気読める僕は写真に写らないように小さくなってた。


頭の上で何かが動く気配。

視線を上にあげると、でっかい蜘蛛がいた。

流れるよに殺虫剤を取り出し噴射!


「おい、なんだ!」

「まーくん、何してんの!」


蜘蛛だ、蜘蛛を殺すのだ。

スプレーを噴射した瞬間に高速で逃げる蜘蛛。

天井から落ち、白鳥のしっぽのほうに逃げ出す。

逃がすか!

僕は席を立ち後ろを向いた。

右手の殺虫剤で追撃しようとしたときに、由香が僕の腕に抱きつく。


「ダメっ、落ちるから」


白鳥が大きく揺れる。

由香に引っ張られて倒れそうになった。いや倒れた。

忠がとっさに掴んでくれたので湖には落ちてない。

それよりも蜘蛛は?


「おい、真尋落ち着け」


忠と由香に宥められたが、やっぱり蜘蛛が気になる。

蜘蛛の姿が目に焼き付き、胸がムカムカする。

気持ち悪い。ゲロしそう。


「おら、お茶でも飲んで落ちつけって」


忠にお茶をもらった。


「もう、蜘蛛いないよ。私が見てるから殺虫剤かして」

「江藤くん、ゴメン。まーくんをスワンから降ろすから陸に戻ってもらっていいかな」




10分後、ベンチに横になっていた。

うー、ゲボい。

由香が膝枕してくれてるけど、全然楽しめない。


江藤君はみんなの所に戻って行った。

途中で遥が乗り移ったらしいけど。


「大丈夫?」

「大丈夫じゃない。上に蜘蛛がいた。びっくりした」


寝返りをうって由香のお腹に顔をつける。

スーハースーハー。いい匂い。少し落ち着いた。

手をまわしてお尻をナデナデする。


「お尻触るくらいなら元気になったでしょ?」

「まだ本調子じゃない。もっと触らせろ」

「胸じゃないんだ」

「おっぱい揉まれる姿をみんなに見られるぞ」


顔を少し浮かせて由香のおっぱいに顔をグリグリする。

あー気持ちいいんじゃー。



30分ほどでみんな戻ってきたらしい。

僕は途中で寝ちゃってたからわかんなかったけど。


「おい、真尋。動けるか?いきなりどうしちまった」


雄介に起こされた。


「もう平気。落ち着いた。でっかい蜘蛛の野郎が襲ってきた。だから反撃して消滅させてやろうと思った」

「おいおい、ずいぶんと過激だな!んで、やったのか?」


僕は悔しそうな表情で、


「見逃してやったさ」


と答えておいた。


横では由香がみんなに説明してた。

蜘蛛が天井にいてパニックになり、殺虫剤まいて気持ち悪くなったって。

遥が大笑いしている。

今度いたずらしてやる。

具体的にはおっぱいをじかで揉む。




それから1時間位はのんびり湖で散策した。

僕は完全体に戻った。

蜘蛛野郎がきても戦える状態だ。

今ならカナブンにも勝てるかもしれない。






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