第34話 BBQ


大津さんを連れてみんなのところに戻った。

遙が僕のところに擦り寄り、


「大津さんの表情がメスの顔なんですが」


え、なんで?

僕は何もしてないよ?

一緒にキャンプ場内を見てきただけ。


「気のせいじゃない?」


気のせいだよ。とても可愛らしい女の子だったよ。


「遙はメスの顔を僕に見せてくれないの?」


見せる!といって背中に飛び乗ってきた。

支えると見せかけ、お尻をナデナデする。

ちっさくても女の子だ。柔らかな体に興奮を覚える。


「BBQを始めようか」


雄介の言葉で調理を開始した。

肉が網の上にいっせいに焼かれる。

炭火で焼かれた肉汁が滴る。

イイ匂いが漂う。

うまそうだ。

 

紙皿に焼き肉のたれを入れて焼きあがるのを待つ。

焼けた肉からどんどん消えていく。

僕も肉を求めるが取れない……。

焼きあがった肉は誰かの胃の中に。


しょうがないから焼き野菜をポリポリ。

由佳たちから貰う肉を食べ、後は野菜をポリポリ。

キモかったロマネスコって野菜。

これ美味しいよ。

焼肉のたれはいるけど。


雄介は調子にのってニンニクをすごい勢いで食べてる。

美味しいのはわかるが、女の子と一緒なのを忘れてないか?

よし、雄介の為にニンニク追加で!


「はい、真尋くんどうぞ」


大津さんが焼けたお肉を持ってきてくれた。


「ありがとう。僕さっきから焼き野菜の専門家になってたよ」


すごく嬉しいな。

あれ、由香の箸が止まってる。

食べないの?


「由香、沢山食べないと川で泳げないよ」

「まーくんの頭の中を覗いてみたい。節操なし」


何を怒っているのか。

由香に焼き野菜を分けてあげた。

たーんとお食べ。

 

米が欲しい。

ご飯は焚いてないけど、松木さんと安藤さんがおにぎりを作ってきてくれた。親じゃなく本人たちが握ったんだって。

もちろん美味しく頂いた。クラスメイトの可愛い女の子が握るおにぎりなんて最高のご褒美に決まってる。

 

「はい、真尋くん。追加のお肉だよ」


明子さん。急に親切になったけどどうしたの?

僕たち今日会うまではほとんど会話したことなかったよね。

 

「私もお肉もってきた!」


遙がさらに肉をのせてきた。


「ストップ!皿からこぼれる!」


どんだけ肉持ってきたんだよ。重いよ。


「はい、由香。あーん」


由香に肉を食べてもらう。

僕1人じゃ消費しきれない。いや、食べれるけど冷めちゃう。


「真紀もあーん」


あむあむとお肉を食べる真紀は可愛いな。

そして、あーんを期待して待ってる遙。


「ハリーハリー!」


お前のお皿にお肉たくさんあるじゃないか。

まぁ、ほら、


「あーん」


うおっ、すごい勢いで食いついてきた!

お前はピラニアか。


皿の上の肉を冷める前に食べちゃわないと。

忠と淳一にもあーんした。

このとき松木さんと安藤さんが、「「キャー」」「あり」とか話していたんだが。僕はホモじゃないです。

大津さんにも、


「明子さん、あーんだよ」


可愛く口をあける大津さん。ひな鳥みたいで可愛いよ。

そして雄介にもサービスであーんをしてあげた。

やっぱり男にあーんしても萌えないな。


 

お腹一杯にお肉を堪能した。

この後に川で泳ぐのでさっさと片付けなきゃ。

BBQの支度をしてなかった、僕、雄介、大津さんで鉄板や食べ残しの処理をして、他の人たちがかまど周りの整理をする。


雄介は大津さんと一緒に鉄板を磨いてる。

大津さんにいいところを見せたいのか、ものすごい勢いで鉄板の擦っている。鉄板を磨く腕が高速すぎてぶれて見える。疲れちゃっても知らないよ。

僕はゴミ捨て。

 

「まーくん、私も手伝うよ」


由香が手伝いを申し出てくれた。


「ありがとう、由香」

「大津さんと仲良くなったの?」


BBQ前にキャンプ場内を一緒に探索した事を伝えた。


「私に言ってくれれば一緒に行ったのに」

「由香たちは頑張ってたから。声かけづらかったんだ。ちょうど明子さんの手が空いていたから誘った」

「明子さんて名前で呼んでるし」

「一緒にキャンプに来たんだ、名前で呼んだほうが仲良くなれるでしょ。夏のキャンプ場は開放感が売りだしね」


いきなり仲良くなっていたことに嫉妬しちゃったのかな?


「僕は由香に守っても貰わなきゃいけないからよろしくね。虫きたら走って逃げるよ。ビックリして抱き着いたらゴメンね。ついでに生乳揉んじゃっても許してね」


「虫はまかせておいて。生乳は家だけにして」

「生乳って響がエロいな」


由香の機嫌が少しよくなったみたいだ。


「手つないでいく?」

 

こちらを見ないで、手だけ差し出してきたので、そっと由香の手を握る。

  

「外暑いから汗だくになるけど、泳ぐしいいよね。おもっいっきり汗掻いてるほうが気持ちよさが倍増するはず」


いつもよりぎゅっと力をこめて手をつないだ。

 

「手汗がひどくなっても知らないよ」

「いいんだよ。由香と一緒に汗をかきたいんだから」


あ、一緒に汗を掻くとか卑猥かも。

  

「汗を掻くってエッチなことじゃないよ?」

「わかってるから。下ネタはいいから」


やっと笑ってくれた。

 


ゴミ捨てが終わり、コテージで水着に着替えて川に行く事に。

当たり前だが、女子は寝室で着替え男子はダイニングで着替えた。

 

由香とお揃いの青い水着。

水着姿の由香はセクシーだった。

しっかり写真に収めなきゃ。


「雄介、カメラの準備はバッチリ?」

「ああ、任せろ。ムービーも用意万端だぜ」

「撮った写真すべてを転送してくれ」

「女性陣の可愛い姿を余すことなく撮りまくるぜ!」


僕たち男子の心が一つになった。


「水の中で偶然おっぱい触っても平気だよね?」

「それができるのは悔しいがお前だけだ」

「俺たちがやったら通報される」

 

小島さんはわからないけど他は怒られるくらいで済みそうだけど。

まだ小島さんと仲良くなってなかった。

後で話しかけて仲良くなろう。


寝室から着替えたーと聞こえてきた。

 

「こっちは着替えたよ。準備できたら行こうぜ」


雄介が返事をした。さぁ、川に行くぞ!


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