第14話 肉食系お姉さん


美味しく食事を終えた俺たちは、最後の買い物と言われてある店に来た。

 

「ランジェリーショップだ」

「そう、下着買うから選んで」


のおぉぉ、女の子の下着なんて選べねぇ。

僕の好みでいいの?黒でスケスケで紐のやつとか?


遙はいろいろ候補を選んでいくが、僕は着いて回ってるだけ。

視線は常に地面。

顔上げられない。恥ずかしいから。無理だから。

でも横目で見ちゃう。

これ、全国のイケメン兄さんは平気で下着選びしてんのか?

童貞の僕にはレベルが高すぎです。あ、マニアな下着なら選べるかな。


最終的に遙はピンクと黒の2種類のセットを買っていた。

色々聞かれたけど内容はよく覚えていない。

お会計の間は店の外で遙を待っていた。

一秒でも早く店をでたかったから。

遙は僕が恥ずかしがってるのを知ってたような気がする。

だってニヤニヤしてたし。悪魔かっ!



遙が会計をしている時に、


「ねー、僕ぅ。こんなところで何してるの?」

「迷子じゃないよね。お姉さんたちと遊びに行かない?」


20代の派手なお姉さんに声をかけられた。


「お姉さんたちねとっても退屈してたの。君も一緒にどうかなぁって」

「お腹すいたらご飯食べさせてあげるから。ほら、行こうよ」


こえー、この2人の女性の目がこえー。

獲物を狙う目だよ。食い殺されそうだ。

ずいーっと迫ってきて壁際まで追い詰められた。

そして壁ドン。

 

「ちょっとくらいイイじゃない。一緒に遊びましょう」

「あの、買い物の途中なんで。人待ってるし」


何で男の僕が壁ドンされてるの?


「あなた可愛いわね。お姉さんたちが”いいこいいこ”してあげようか?」


はぁ?”いいこいいこ”?それは魅力的な提案だな。

お姉さんの手が僕の肩から胸へ、そしてお腹を経由し下半身を撫でる。

痴女キター!

これは噂の痴女!初めて見た!そしてもっと!もっと!

 

「君は半ズボンが似合いそうね。今から買いに行く?お姉さんが買ってあげるから」

「いい事もたっぷりしてあげる。怖くないわよ。天井の染みを数えてたらあっという間に終わるから」

 

いやぁぁ、喰われちゃうぅぅ。

2人のお姉さんに詰められて困っていると遙が戻ってきた。


「お姉さん方、私の連れに何か用事ですか」


助けて。遙、助けて。


「あら、彼女と一緒だったの。なあんだ。じゃ、しょうがない。ゴメンね彼女さん。彼氏が可愛かったからつい声かけちゃった。こんな可愛い彼なんて羨ましいわ。それじゃ、お幸せに。バイバイ」


お姉さん方は去っていった。

ありがとう、遙。

僕、ちょっと怖かったよ。あんなに肉食系な女性がいるなんて。

男なのにびびっちゃった。心は拒否しても体はビクンビクンしちゃう。


「真尋くん、大丈夫だった?変なことされてない?」

「あぁ、ありがとう。助かった。壁ドンされたよ。あと股間をなでなで。遙がいなければ連れ去られてた。天井の染みを数えろって」


ふふっと遙は笑い出し、


「まさか真尋くんがナンパされるとか受ける」


笑ってる場合じゃないよ。連れ去りとかマジ勘弁。

 

「ほら、行こう。買い物は全部すんだから、ゲームセンターいってプリクラ撮ろうよ。一緒に渋谷まで来た記念に」


遙とゲーセンでプリクラを撮り、アーケードゲームを楽しんだ後、地元に戻った。

駅での帰り際に紙袋を渡された。


「何これ?」

「私とお揃いの服。買ったから着てね。今日はありがとう。とっても楽しかったよ。また行こうね」


遙は帰って行った。

自分の家に帰り、部屋で紙袋を開けてみる。

お揃いの洋服っていってたよな。


「あ、これパンツじゃん」


ボクサー型のお洒落なパンツだった。遙とおそろいのパンツ。





 

ある昼休み。


いつも由香と遙と小林さんは一緒にお弁当を食べている。

今日は小林さんがいない。いや、さっきまではいた。


「あれ、小林さんは?今日は一緒じゃないんだ」


「まーくん気になるんですか?真紀は告白を受けに行ってます」

 

「そうだよー。さっき他のクラスの男子に呼ばれてたよ。一緒に出かけて行った。もうすぐ戻ってくるんじゃないかな」


へー、告白か。


「じゃあ、小林さんは彼氏持ちになるのか。めでたいな」


僕の仲間にもついにカップル誕生か。

あのおっぱいを自由にできるなんてけしからんな。

うらやましいぞ。


「真紀も大変だねー」


「本当にそうです。朴念仁が相手だと苦労します」


ん?大変なのか?

お、小林さん帰ってきた。


「お昼時間なくなっちゃう。早くご飯食べなきゃ」


急いでお弁当を食べだす小林さん。


「小林さん告白受けたって?どんな相手なの?」


俺は聞いてみた。


「1組の男性です。名前も知らない人。でもイケメンの部類でした」


「イケメンなのか?よかったな。僕も告白とか受けてみたい」


「お断りしましたよ。だって私は好きな人いますし」


「ええっ、そうなの?」


好きな人いるんじゃしょうがないか。


「まーくんは黙ってて」


「そうだよ、真尋くんはダメダメだよ」


えー、怒られました。なんで?

変なこと言ったか?まあ、いいや。


「3人ともしょっちゅう告白受けてるみたいだね。雄介が言ってた。そんで断り続けてるってのがすごい。実際、3人とも可愛いしな。お前らに好意をもたれている奴は幸せだな。一途な女性ってのはやっぱいいな」


由香たちは残念そうな顔をした。


「まーくんは残念な男なんでしょうがないですね」


「真尋くんはそのままでもいいんだよ。そのまま大人になってね」


なんか僕が残念な男に聞こえるじゃないか。

ご飯を食べながら小林さんが思い出したように、


「そういえば真尋くんは遙のこと名前で呼ぶようになってるよね?私だけ小林さんてイヤ。真紀って呼んで」


「いいの?じゃあこれからは真紀って呼ぶね」


真紀は笑顔で頷いた。

関係ないけど真紀のおっぱいすげー。何度見ても感動するぜ。

あ、由香がこっち見てる。すっげー睨んでる。

おっぱい見てたのばれた。


「由香、遙、真紀。話に割り込んで悪かったね。また後で」


僕は逃げるように教室から出て行った。

やべー、家帰ったら由香怒ってるかな。

真紀のおっぱいに見入ってしまった。

しょうがないじゃん。あんなの反則だよ。




 

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