パラレル時空ラブコメ編

銀ノ章1

 ご注意点。このお話は本編には関係ない別時空のお話です。


 もしも、二人が同じ学校に居たらと言うお話です。


 銀堂コハクが中学二年生で黒田十六夜が一つ上の年上で先輩である中学三年生と言う設定です。細かい所には気を遣っていないのでそこら辺はご了承ください。本編以外は興味ないと言うお方はブラウザバックをお願いします。



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 ある日、俺は目覚めてしまった……前世の記憶がよみがえりこの世界が『魔装少女~シークレットファイブ~』の世界と言う事を認識したのだ。


 『ifストーリー』の時を考え俺は歩き出さないといけない。世界滅亡何て嫌すぎる。


 中学三年の現在特に力もなく、体も弱い。バッドエンド回避の為にはトレーニングを開始して更に勉強もしなくてはならない。ようやく走り出そうとした時……自身の通っている中学で……彼女を見つけてしまった……この世界の主人公である……銀堂コハクを……


 この時期の彼女はまだ幼さも残っているが色気と美しさを兼ね添えておりまさに絶世の美女である。バッドエンド回避の為、多少は仲良くなろうと気楽な感じに思っていたのだが彼女の学年は中学二年生


 つまり……彼女はいじめにあってしまっている……



 問、目の前で美少女がいじめにあってしまっていたら君ならどうする? 


 回答、なんてしても助ける



◆◆

 


 私はいじめられている……無駄な正義感を振るって友達を助けてばっかりに……いや、もう友達ですらない。



 彼女の為に手を伸ばしたのに……私には彼女は伸ばさなかった。毎日、毎日、机に落書きをされ男子達からは性的な目を向けられ続ける……



「ねぇ、お金貸してよ。援交で稼いでるんでしょ」

「そうそう、軽く一万でいいからさ」


放課後に路地裏に呼び出され数人の女子に囲まれる。してもいないことをしてると言われ金をたかられる毎日。


「も、ってない、です」


恐怖で上手く声が出せない。寒くないのに凍える世界に一人ぼっちの感覚を覚える。


私が持っていないというと奴らは私を壁に押し付け顔の近くをドンと勢いよく叩く。驚きと恐怖で瞳から涙が零れる。


私がなにをした? なにもしてない。正しいと思った事を正しいと言っただけ……

理不尽だ。最悪だ。何も信じられない……


「嘘つくなって、この間四十代のおじさんとホテルに入ってくところ見たよ」

「あ、私も」

「うーわ、きも」

「だからー……金寄越せよ」


鞄を取られ奴らは財布を取り出すと中の資金を確認する。そして、お札だけ抜き取るとポイっと地面に捨てて靴で何度も踏んだ。


「やっぱり持ってんじゃん。ヤリマン」

「おじさまからの指名ナンバーワンだもんね」

「ガチでキモい」


私が手を差し伸べた彼女も奴らと混じって笑いあう……もう、嫌だ……


誰でもいいから……助けて……そう……思った時だった……




誰かが……歩いてくる。この中学の制服を着た男子生徒……どこかで見た覚えがあるかもしれないが誰からは分からない。


彼の顔は怒り……静かな怒りの表情をしていた。



「だれ? この学校にあんなモブみたいな奴いた?」

「知らない、って言うかモブ過ぎてウケル」

「何か用?」


三者三様に奴らは反応する。そしてその中の一人が彼に用を聞いた


「いや、流石にやり過ぎだと思ってな……今すぐそのこに土下座しろ、そうしたら殺すことはしない……」


彼の言葉には嘘は混じっていなかった。しかし、奴らはそのように感じてはいないようでケラケラと笑いあう。


「いや、殺すって厨二かよ」

「うけるわ」

「殺せるわけないじゃん。犯罪だよ?」


彼はそう言われると黙って近くの木に寄る。そして木の枝に手を伸ばす。よく見るとそこにはカメラが置いてあった。彼はそれを取ると奴らに見せる


「社会的に殺すって意味だから殺せるけど」


それを聞いた彼女達はようやく焦りを覚え始める。さらに彼は木の枝から小型の録音機、そして奴らの足元を急に掘り出した。


全員が何をやってるんだと思うとビニールに包まれた録音機。さらに……ドンドン取り出していき最終的には十数台もの録音機やらカメラ、撮影機やら次々と取りだす。


「で? どうする? これを学校とか教育委員会に送るか? いじめは犯罪だから裁判にすらできるけど」

「……いや、マジでそれは……来年受験とかあるし……」

「それともネットに晒すか? 俺は刺し違えてでも殺すぞ、社会的に……」

「か、勘弁してよ……ちょっと遊んでただけだから……」

「じゃあ、土下座しろ。そして二度とこのような事が無いように努めろ」


彼女達は未だにプライドが邪魔してるのか中々できない。そこで彼は指を地面に向けて


「どぉぉぉぉ、げぇぇぇぇっぇえぇぇ、ざぁぁぁぁぁぁしぃぃぃぃぃろぉぉぉぉ!!!!!」


 何処かのドラマでこんな感じの人が居たような気もしなくはないが……彼は大声で言い放った。


 彼の表情と顔に恐れをなしたのか彼女達は手を地面につく頭を下げた。


「すいませんでした……と言え、そして、しっっっっっっっっかりと頭を地面に付けろ」


彼は再び彼女達に命令する、しとかの間の伸ばしが凄い。


「すいませんでした」

「すいませんでした」



次々と彼女達は土下座と謝罪をしていく。虐めていた奴らが……こんなことが起こるなんて


「どうします? 銀堂さんが殺せというなら殺してもいいんだが……こういった奴らは弱みを握り続けた方が愉悦が味わえるから敢えて告発しない方が良と思います。個人的にですけど」


彼は私に話しかけてきた……なんていえばいいんだろう……


「あ、じゃ、じゃあ、それでお願いします……」

「だそうだ。分かったら二度とこんなことをするな。そして今すぐ消えろ」


彼は今度は奴らに向かってそう言った。言われた奴らは急いで逃げていく。


「えっと……遅れてすいません……もっと早く対処出来れば良かったんですけど……あ、この録音機あげます。えっと、後は……」


彼は再び木の方に行き枝からビデオカメラを持ってくる。まだ……あったんだ……



「これもあげます。土下座のビデオが入ってるからスッキリしたいとき見てください」

「えっと……こんなに高価な物頂けません……」

「あ、大丈夫これ全部ネットの応募で当たったものですら、実質タダです。ハイどうぞ」


彼は私に録音機をビデオカメラを渡す。その後、踏みつけらえた財布と奴らが私からとった札束を逃げる時にばらまいたのでそれも拾った。


「くだらないことするな……ちょっと汚れが取れないから……」


彼は懐から消毒液とハンカチを取り出す。ハンカチに消毒液をつけると磨き始めた。


「よーし、出来た!」


彼は私に磨き終わった財布を差し出してくれた。私はおどおどしながらもそれを受け取る。


「どうも……」

「あ~、えっと……人生は山あり谷ありだし……きっと良いことも起こると思います。あとはその、何て言えばいいか分からないですけど……誰かを助けようとする貴方はカッコよかったと思います」



嬉しさと高揚感でどうにかなりそうだった。涙が止まらない。


彼にありがとうと言いたいが上手く事が出ない。


彼は照れ臭そうに言うと今度は私の鞄を拾い……それも消毒液とハンカチで磨き始めた。そしてそれに私に渡したカメラやら財布やらを入れて一つにまとめる。




「他に何かあったら言ってください、何時でも虐める奴は殺します」

「は、はい……あの、貴方の名前は」

「三年の黒田十六夜です」

「よ、よろしくお願いいたします。い、十六夜先輩」



 そうか、年上か……十六夜先輩……か、カッコいいかも……


 その日、私の恋が始まった……



◆◆



 あの日から十六夜先輩は私を気にかけてくれるようになった。男たちが変な噂をしているといきなり生卵を投げつけ激怒した。例え女子が変な噂をしても女子でもそんなことは関係なく激怒し中指を立てる。


 次第に私の校内の噂は薄くなり、そして無くなり……十六夜先輩がヤバいという噂で持ちきりになった。


 彼はこのことも見越してわざと派手な行動をしたんだろう、そうに違いない。本当に優しくてカッコよくて素敵な人。いきなり私の前に現れた王子様……気付けば私は十六夜先輩の事ばかりを考え一緒に帰宅なんてこともあった。彼はあまりそういうのに乗り気ではなく止めとこうと言う。


 自分が校内で浮いているから自分に関わるとまた私に矛先が向くかもしれない。だからこそ一緒に居たくないと……そういう事なのだ。本当に優しい。


だからこそ好きなんだ。先輩が。


「十六夜先輩は……どんな女性が好きなんですか?」

「優しい人とか、しっかりとした人ですかね」

「へ、へぇー、わ、私は小さいころからおばあちゃんに優しいってたくさん言われました!」

「え? あ、そう、なんですか……」

「あ、後、燃えるごみと燃えないゴミはしっかり分別します!」

「そうなんですか……」


鈍感なのか、そうでないのか。恐らく後者だ。先輩は付き合うとかそういう対象で私を見ていない。こんなにアピールをしているのに……


もっと、大胆に……



「因みに、と、年下とかは……好きですか?」

「え? あ、いや、うん嫌いじゃないです……」

「じゃ、じゃあ、あの、ここに……優しくて、しっかりして、年下の……優良物件が……ありますけど……ど、どうしますか?」

「あ、えっと…………何処にあるんですか、その家?」


惚けた……私のほぼ告白ともいえる……物を……惚けやがった。鈍感な振りしやがった……


「むぅ、もういいです! 先輩の意地悪!」

「……」


頬を膨らませて私はそっぽを向いた。先輩はどうしたらいいのか分からずアタフタしている。いつもそうだ。分かってるくせに鈍感な振りして……


だけど……そんな毎日が楽しい……


彼と出会って一か月、二か月と時間が経つにつれてドンドン好きになった。


そして、先輩が中学を卒業する日が訪れる。


◆◆


 卒業式を終えた人たちはみんなで写真を撮ったりしているが先輩は一人。大分浮いてしまったからだ。私のせいで……でも先輩は一切私が悪いとは言わなかった。



「先輩、卒業おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「あの、この後……私の家で卒業パーティーを……二人きりで……どうですか?」


 女子が男を家に誘うなんて普通はしない。さらに二人きりと言う単語、これで好きと言う事をあぴーるしているのだが効果なし。


「あ、そうですね……でもおうちに人に悪いからやめときませんか?……」


 そう、先輩は断る。二人きりの状況とかそういうのを……こんな超絶美女である最高な後輩が誘っているのに



「最後まで躱すんですね……まぁ、分かってましたけど……」


 そうだ、私先輩に言ってなかったことがある。


「先輩、私引越しをするんです。この学校は何だかんだ居づらいですし……先輩が卒業するなら居る意味もないので」

「そう……やっぱりか……」

「やっぱり?」

「あ、いや噛んだだけです……」


この人は鈍感な振りをする上に秘密もあるから質が物凄く悪い。気になって仕方がない。ずるい、本当にずるい……


でも、このままで別れたくない。想いを告げたい。先輩と同じ皆ノ色高校に行くつもりだけどそれまで会えない。だから……ここで……想いを告げずに別れるなんて嫌だ。


「先輩、私と付き合ってください。勿論、お買い物とかではなく、男女として特別な関係になるという意味です」

「ッ! ええ!? あ、ここで!? えっと、その……」

「……嫌ですか?」


私は逃げ道を完全に封じた。今まで直接的な言葉を避けてきたおかげで逃げ道があったが今はない。そして、ちょっとあざといが悲しみをアピール。これで優しい先輩は断れない。


つまり、実質オーケー以外の選択はない!


「嫌では……無いけどですけど……」

「エーんえーん、先輩が付き合うって言ってくれないよぉ」

「泣かないで、えっと……」


先輩はお困りのようだ。どうやら、ようやくちゃんと私を意識したらしい。


しょうがないな。このカッコよくて、優しくて私の大好きな先輩は……


「嘘ですよ、今はまだですけど……」

「え、あそう、そうですか……」

「コハクを意識しちゃいましかたか?」

「えっと……うん……」


じゃあ、それでいいかな? 


そう思ったところで私はやはり我慢ができなかった。


「やっぱり先輩が好きだから付き合ってください」

「ええ!!?」


アタフタしてる先輩が可愛い。


どうしよう、どうしようと考えている先輩に私は一歩近づいて……殆ど密着する距離に……


そこで私は少し背伸びをして唇をあわせた


「ふぁhうぃfwふぇwfw」


もう、茹でだこのようになる私達。先輩は変な声を上げる。


「私のファーストキスです。先輩……」



その日、押しに押した私は先輩と特別な関係になった。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

完全に本編とは関係ありません。最初は銀堂コハクを後輩ポジにしようとしていたというのはありますが……


本編開始はもうちょっと待ってください。どうするか思考中なので……


あと、このコハクちゃんはまだ中学時代ですので多少の幼さが残っています。






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