クソ真面目な生徒会委員にオタクにされていた

冴えないkitoki

プロローグ

「はぁ~~~~~」


担任のクソ長い説教がようやく終わり、俺は大きなため息をついた。


もう空は暗く、部活で残っている人もほぼ居なかった。

普段なら一緒に帰る人たくさんいるんだけど―。

しょうがない、観念して一人で帰るか。


下駄箱を開けようと思い、「村上 大貴」と自分の名前が書かれたスペースを探す。

見つけ開けると、何かがドサッと音を立て床に落ちた。

突然の物音に驚き、体を震わせた。

視線を下げる。


・・・何だこれ?


見てみると、床に落ちたものは、一冊の文庫本だった。

書店のカバーがかかっていて、題名や表紙は全く見えないが。


・・・なんでこここに本がある?

恐る恐る拾い上げてみる。


調べてみることにして、一ページ目をめくってみる。

初めの数ページは、ライトノベル形式のイラストだった。

しかし、ライトノベルと違うのは—


          ・・・・・・・・・・・・

ヒロインらしき人物が全裸で性行為に及んでいる点だ。

俺はパタンと本を閉じ、カバンに入れた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?

「エロ本じゃねえかああああああああああああああああああああ!」


思わず全力で叫んでしまった。

え?何で?というか、誰が入れた?

見つかったらまずいから、カバンに入れたのは正解だよな?


俺が思い切り混乱していると、

「どうかしましたか?村上さん」


突然、声を掛けられた。


「おおおおお!」

メッチャ驚いた。

ナイス数分前の俺、カバンに入れといて良かったわ!


「な、何ですか?」

俺も相手に視線を向けると、怪訝そうにこちらを見ていたのは、俺が先程怒られる原因を作った人物—周 清華だった。



正統派の黒髪ロングにはかなげな瞳。胸は小さいが、それを差し引いても、充分美しい評価を得るに値する。

噛み砕いて言うと正直、メチャクチャ可愛い。

だが、そんな容姿を打ち消すぐらい性格は超真面目。

生徒会委員であり、どんな人もガンガン取り締まる。

そのため、「可愛いけど、性格がなあ~」と言われることが非常に多い。



ちなみに、怒られた原因は大したことは無い。

友達と授業中に、スマホで友達とメッセージのやり取りをしていただけだ。

まあ、前にも注意されていたし正直俺が悪いのだが、ちょっとぐらい許してくれよ、という気持ちはある。

完全に悪いのは俺なので何も言えないが。


「聞いてますか?」


「も、もちろん聞いてるぞ」


「何でさっき、発狂していたんですか?」


周が、適当な態度の俺にしびれを切らしたのか、距離を詰めてくる。

あっ、いい匂い。だが、今はそれどころじゃないんだよ、残念ながら。



「発狂したい気分って言うのが男にはあるんだよ」

「はぁ、そ、そうですか」


ヤバイ、かなり引かれている。

取り敢えず、俺の好感度と社会的地位を失わないために、早急に帰ろう。


「じゃあ、もう遅いし帰るわ!」


「待って下さい、何か隠してますよね?」


美少女に手を掴まれた。相当嬉しいはずなの気に恐怖しか感じねえ。


「な、何故そう思う?」


「だってバッグを不自然に後ろに隠してるじゃないですか」


あ、俺がアホだった。


「そ、そんなことは無いぞ、というか、お前何でそんなに気にしてんの?」


「えっ、そ、それは、何というか・・・・」


周が頬を赤らめ、下を向いた。

すると周が俺の手を掴む力が一気に弱まる。

今がチャンス!


「じゃあな、俺は帰る!」


俊足で校門を抜け出し、しばらく後ろも見ずに走った。


ああああ、怖かった。

というか、この本どうしよ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

クソ真面目な生徒会委員にオタクにされていた 冴えないkitoki @kai_tunndere

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ