第40話 ガトウ星系戦
ここは
TUKUBAおよびその姉妹艦二隻はURASIMAにおいて出撃準備をほぼ終了している。
「とうとう、連中がやってきたな。敵の艦隊は基地で推進剤やらの補給に三日はかかるだろ」
『その前に
「俺たちが大華連邦の艦隊を叩き潰せば、スラビアが動きやすくなるな」
『これまでの一連の作戦はそのためでしたから。大華連邦が主力艦を喪失すれば、スラビアは、当初予定していた
現在、宇宙工廠DAIKIでは、第2遊撃艦隊を編成するため、巡洋駆逐艦4隻を建造中だ。もちろん巡洋駆逐艦はワンセブンマイナーを装備するため、乗員の訓練は短期間で済む。スラビアが大華連邦の奥深く侵入するころには就役可能だ。
「かわいそうだが、どちらも敵国。最後には出張ってくるスラビアの連中も殲滅するんだろ?」
『もちろんそのつもりです』
「陸戦隊の強襲揚陸艦は輝玉星系に戻ったころだろうが、第3艦隊の移動はどうなっている?」
『第3艦隊はスラビアとの境界星域付近から、すでに移動を開始しており、今回の戦闘
……
『第1艦隊全艦、出撃準備完了しました』
「……、よし、そろそろ時間だ。吉田中尉、出るぞ」
「はい、艦長。第1艦隊全艦出撃します」
俺も一応は航宙軍司令長官だし、第1艦隊司令長官なんだが、このTUKUBA内には基本旧知の吉田中尉しかいないし、閣下と呼ばれるのはむず
URASIMAを出航したわれわれは、予定のジャンプ点にまもなく到着した。
『ジャンプ目標、ガトウ星系指定座標。艦隊各艦本艦に同期します』
「全艦同期確認」
『艦隊、長距離ジャンプ60秒前、58、57、……、3、2、1、ジャンプ』
いつもの一瞬意識が切り替わったような感覚の後、
『ジャンプ成功。各艦正常です』
『敵艦隊確認。敵人工惑星確認しました』
『同期射撃目標、敵誘導弾未来位置』
『1番から6番、40ミリ実体弾砲射撃開始』
艦首側6門の40ミリ実体弾砲が各砲毎秒12発の速度で射撃を開始した。
『40ミリ実体弾砲射撃終了』
『敵人工惑星、対艦誘導弾らしきもの多数発射しました』
『……、対艦誘導弾、弾幕に突入。カウント、12、36、……、256、312。敵誘導弾残数6』
『敵誘導弾残弾に対し、40ミリ実体弾砲射撃開始、…射撃終了』
『……、全敵誘導弾破壊完了しました』
これで、敵の人工惑星基地は有効な攻撃をできなくなったろう。
「敵艦隊の動きはどうだ?」
『こちらに向けて増速中です』
「いつもこれだけ戦闘が一方的になると、われわれだとどうしても
『お
こういったところは、ワンセブンは人と変わらないな。俺もそう思って接する方が楽だからいい。
『今回の作戦の目的は、敵主力艦および各種補給艦の撃破です。重巡以下の艦は見逃しても構いません』
「見逃すというのは?」
『いずれ、スラビアとの戦いですり潰されますから、多少ともスラビア側に損害を与えてもらうためです。また、すでに
「なるほど」
『それでは、そろそろ作戦を開始します』
「第1艦隊、全兵装使用自由」
『ジャンプ目標、戦闘想定宙域。艦隊各艦本艦に同期します』
「全艦同期確認」
『艦隊、短距離ジャンプ30秒前、28、27、……、3、2、1、ジャンプ』
大華連合の派遣艦隊(大華連邦第1艦隊)
戦艦×0(4→0)
重巡洋艦×2(8→2)
軽巡洋艦×8(12→8)
駆逐艦×36(48→36)
各種補給艦×0
警備艦隊
旧式軽巡洋艦×2
旧式駆逐艦×6
ジャンプ可能な残存艦は安定宙域から大華連邦に脱出した。TUKUBA型では、
われわれ第1艦隊が敵艦隊を撃破し終わり、竜宮星系に撤収したころ、ガトウ星域に到着した第3艦隊には、大華連邦艦のスクラップの回収を行わせている。
「昨日、皇国標準時、17時ころ、わが国に侵入した大華連邦の艦隊に対し、瑞穂皇国航宙軍艦隊が応戦。大華連合の主力艦4隻を含む多くの艦を
今さらではあるが多少脚色したストーリーで皇国国内に向けて戦勝情報をリリースした。情報秘匿のため特殊砲弾で戦艦が吹き飛ぶところは撮影はしていたが流さず、
国内の国威発揚の意味合いはあまりない。この情報はもちろん、
『大華連合の主力艦はなくなった。かの国に速やかに侵攻せよ』
との、スラビアへのメッセージである。大華連邦には
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます