第24話 大華連邦、皇国再侵攻1
こちらは、スラビア共和国。
後日、皇国に対する単純な威力偵察のはずの今回の作戦で、これほどまでに甚大な被害が発生した理由を追求するため、スラビヤ宇宙軍内において、第二方面軍の首脳部を召喚し査問会が開かれた。
その結果、第二方面軍総司令官の
スラビア共和国ではよくある話ではある。
その後、スラビア第二方面軍の活動は一気に低調になっていった。
そして、こちらは皇国。
皇国の主力艦隊が甚大な被害を被ったことは、当然秘匿情報だ。
領内に侵入したスラビア艦隊に対し、これに甚大な被害を与え、撃退し、有人惑星を無傷で守り切ったことのみ航宙軍から発表されたのだが、
打撃力という意味では、列強中最強と言われている皇国第3艦隊(機動艦隊)は健在だったが、戦艦、巡洋戦艦の多くを失うかまたは修理を余儀なくされてしまった皇国に対して、今は与しやすしというメッセージが大華連邦にもたらされたわけである。
スラビアの第二方面軍もかなりの艦隊戦力を消耗しているいま、大華連邦領域に対するスラビアからの圧力は当面弱まると判断した大華連邦政府は、この機に自国のプレゼンスを高めるため、攻撃機母艦を主力とする宇宙軍第3艦隊を、皇国領域に派遣し、駐留する地方艦隊をいくつか撃破して引き上げる計画を立てた。間違っても、皇国第3艦隊と鉢合わせしてしまわないよう、その動静を皇国政府および航宙軍内部に浸透したスパイを通じて探りつつ作戦を遂行することにした。
大華連邦宇宙軍第3艦隊(機動艦隊)
巡洋戦艦×2
攻撃機母艦×2
重巡洋艦×8
軽巡洋艦×8
駆逐艦×32
+各種補給艦など
皇国第3艦隊(機動艦隊)
巡洋戦艦×2
攻撃機母艦×4
重巡洋艦×4
軽巡洋艦×6
駆逐艦×36
+各種補給艦など
皇国内の各有人星系に駐留する地方艦隊はその構成艦はよくて二線級、通常はそれ以下の旧式艦で構成された小規模艦隊のため、大華連邦の第3艦隊に全く太刀打ちできないにもかかわらず、大華連邦が侵入した星系に駐留する地方艦隊に対して航宙軍本部より死守命令が出されていった。
大華連邦宇宙軍第3艦隊は降下部隊を引き連れていないため、高速機動が可能で、攻撃機母艦から艦載攻撃機をくり出すまでもなく、皇国の地方艦隊を撃破して行った。この間、大華連邦第3艦隊は星系内の民間施設や有人惑星には一切手を出していない。
民間への直接被害がなかったことと、大華連邦と戦争状態になった場合、中立国との貿易停止や縮小を懸念して皇国が大華連邦への宣戦布告することはなかった。今回もいわゆる事変扱いとなったわけだ。
大華連邦宇宙軍のこの動きが
こういった状況の中、航宙軍は虎の子の第3艦隊(機動艦隊)を大華連邦第3艦隊を追撃するため派遣するのだが、会敵することはついにできず、大華連邦第3艦隊は砲弾と推進剤と燃料を消費しただけで無傷のまま自国領に撤収を果たした。
航宙軍本部は敵艦隊をとり逃がした第3艦隊司令部を叱責することで、責任の転嫁をはかったが、これまで本部に対する不満を特に抱いていなかった第3艦隊も航宙軍本部に対し、不満と不信を抱くようになり、逆に航宙軍本部そのものが、皇国内で孤立していった。
「ワンセブン、おまえの予測は怖いように当たるな」
『大華連邦、スラビア、皇国、どの国も国民性がはっきり表れていますから、揺らぎが少なく、少しこちらから刺激を与えただけで思ったような反応をしてもらえました』
「航宙軍に対しては、もう一押しというところだな。次の一手として、大華連邦に踊ってもらうんだろ?」
『大佐も、見えて来たようですね』
「まあな。特殊弾頭の備蓄もかなりの数になった。そろそろ消費しないとな」
『そういうことです』
「それで、場所は?」
『SS-62星系、
「いつものように手回しがいいな。それで、いつになる?」
『一週間後です』
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