第80話 ネームド
「うわー。強いな」
大楯による一撃と、衝突したショックで完全に動きが止まったロックリザード達に、容赦の無いトドメの追撃が加わる。
ユニーさんの弓矢による攻撃は、正確にロックリザード達の目を捉え、その矢による一撃はロックリザードの目を貫通し脳まで届き、絶命させた。
流石にベテランのパーティ。連携に無駄がない。
「ピータ!」
ロックリザードへのトドメと同時に、ピータの炎魔法の詠唱が終わる。
そして、シャウの合図と共に、大楯を構えていたガイファとクオの2人が、その大楯を地に固定し身を隠した。
「顕現せよ《ファイヤーランス》」
8本の炎の槍が、ガイファとクオの頭の上を超え、2体のリザードマンナイトに向かって射出される。
高速で射出されたファイヤーランスは、ロックリザードから投げ出されバランスを崩しかけているリザードマンナイトに向かい、まっすぐ飛びその体を貫かんとしていた。
「やった!」
あまりにもキレイなタイミングに直撃を確信したシャウさんが盛大なフラグを立てると同時に
「「グワァー!!」」
2体のリザードマンナイトが、咆哮とともに崩しかけていたバランスを立て直し、両足をしっかりと踏み込み、持っていた槍をファイヤーランスに向かい振り回す。
そして、8本のランスは1本も届くことがないまま霧散した。
そう、少し強いといったのはロックリザードの事ではなく、この2体のリザードマンナイトだった。
ロックリザードは、この2体にとっての移動ためのただの乗り物。
土煙が足元を漂うなか、絶命した2匹のロックリザードを全く気にする事なく、長い舌をチョロりと出しリザードマンナイトは、こちらに正対した。
リザードマンナイト(リザードマンLv50から進化)
【Name】アーグラ
【age】19
【Lv】 21
【HP】 1340/1340
【MP】 290/290
【力】 410
【体力】 300
【器用】 280
【知力】 120
【素早さ】210
【魔力】 160
【スキル】
ノーマルスキル
槍術<Lv7> 騎乗術<Lv5> 盾術<Lv3> 水魔法<Lv3> 水耐性<Lv4> 連怒・攻<Lv3> ※パーティメンバーが傷付くほど攻撃力または防御力をを上昇させる。(攻撃力・防御力はスキル取得時に欲していた一方となる)
リザードマンナイト(リザードマンLv50から進化)
【Name】イーグラ
【age】19
【Lv】 21
【HP】 1420/1420
【MP】 290/290
【力】 300
【体力】 410
ちなみにもう1体もネームドで、能力も力と体力が入れ替わっている他は、ほぼ同じで、こちらは盾術<Lv6>で槍術が<Lv5> 連怒・護となっている。
攻めのアーグラ
護りのイーグラ
といった感じだろう。
そう。こいつらは2体ともネームドモンスター。
しかも、リザードマンからLv50で進化しLv1に戻った後、しっかりLvを上げてきている。
つまりLv71以上ある計算だ。
前に見たギランさんのステータスより高く、互いに連携できる面倒なスキルを持っていた。
「敵はリザードマンナイトLv21。しかもネームドです!右の1体は僕とポシルが引き受けます!皆さんは左の1体を!フィーネは物陰に隠れて待機して!」
『久しぶりのマスターとの共闘ですね。楽しみです!』
なんだか肩の上のポシルさんのテンションが非常に高い……。ついさっき盗賊相手にポシル無双をしていたが、あれは共闘とは言わないのだろう。
全く物足りなかったようだ。
久しぶりのの共闘に、ワクワク感が物凄い伝わってくる……。
ちなみにあれだけの盗賊を討伐すればレベルも上がってLv14から16に、硬化も<Lv4>→<Lv5>に上がっていた。
僕は前回全く手を出していない関係で、レベルは据え置きな感じだ。
「おっタカヤくんは鑑定持ちか!助かった。了解した!」
「リザードマンナイトならリザードマンの進化系です!高レベルの相手です。ガイファさん クオさんしっかりとお願いしますね!」
「「おうっ!!」」
シャウさんが答え、ピータさんがガイファさんとクオさんに檄を飛ばす。本当にこのパーティは良いパーティだ。
あまりスキルがバレる事はしたくはないが、僕の解析とは違い鑑定持ちでも、物の判別とは違い相当のLvでないと、生物対象の能力まではわからない。
背に腹は変えられない。必要最低限の情報はしょうがない。
肩の上のポシルを撫でつつ、気合を入れ直しリザードマンナイト、護りのイーグラの元へ向かい走り出す。
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