第43話 スキル吸収

 恐いくらいのハモりで、気合を入れるポシルをひと撫でする。


「うん。よろしくね。体は吸収して大丈夫だけど、魔石と右耳の確保よろしくね。あとは一応武器になるもの、お金、素材、取り敢えず一箇所に纏めていこうか」


 1時間程の時間をかけて集落を隅々まで探索する。少し微妙な気持ちになったが、途中雌のゴブリンや子ゴブリンも含め完全に殲滅した。


 1匹逃すとより狡猾になったゴブリンが群れを作り、すぐに10匹になるとも言われているゴブリンは、殲滅が推奨されている。

 心は傷んだがここは割り切るべきだろう。


『マスター。魔物は弱肉強食。マスターが気に止むことは何もないです』


 いつまでも、うじうじ自分に言い訳しているのが分かったのか。ポシルが念話を飛ばしながら慰めてくれる。


「ありがとう。ポシル。僕はもう大丈夫だよ」


「さぁあと少しだ。全部回収しちゃおう」


 集落中央。

 広めのスペースに、2人で回収したものを重ねて行く。


 ・ゴブリンの右耳 181個

 ・ゴブリンナイトの右耳 12個

 ・ゴブリンメイジの右耳 10個

 ・ゴブリンアーチャーの右耳 8個

 ・ゴブリンモンクの右耳 9個

 ・ゴブリンシーフの右耳 1個

 ・ゴブリンシャーマンの右耳 1個

 ・棍棒類 132本

 ・錆びた鉄剣 17本

 ・鉄剣 6本

 ・木剣 15本

 ・錆びた短剣 21本

 ・金貨 1枚

 ・銀貨5枚

 ・銅貨1枚

 ・トレントの枯れ枝


 魔石

 ・ゴブリン 181個

 ・ゴブリンナイト 12個

 ・ゴブリンメイジ 10個

 ・ゴブリンアーチャー 8個

 ・ゴブリンモンク 9個

 ・ゴブリンシーフ 1個

 ・ゴブリンシャーマン 1個



「だいぶあったね。やっぱり集落の数は200を超えてたかー。でも幸い人間は捕まってなかったね。繁殖も雌ゴブリンが担当してたし、弱くてもいいから数で勝負って感じだったのかな」


『ふー。いっぱい食べました。まだ消化中で保管してますが弱い個体が多くほとんど力は得られそうにないです……』


 やはり強い個体じゃないと成長も遅いのか。

 今回はただのゴブリンがほとんどだったし、しょうがないかな。


「じゃあ魔石の確認もしようか。さすがに少しは吸収出来ると思うし楽しみだね」


『はい。マスター』


 集落内。


 おそらくゴブリンシャーマンが居たであろう。少し立派な佇まいの建物に入る。


 と言っても、木を組み合わせて床と壁を造り、葉っぱなどを屋根として乗せたあばら家ではあるが、これでも他の物よりかはましな造りをしている。


 家の中央の藁を固めた椅子に座り、魔石を確認する。


 魔石

 ・ゴブリン 181個

 ・ゴブリンナイト 12個

 ・ゴブリンメイジ 10個

 ・ゴブリンアーチャー 8個

 ・ゴブリンモンク 9個

 ・ゴブリンシーフ 1個

 ・ゴブリンシャーマン 1個


 計227個

 そのうちスキルが表記されている魔石は

 ・ゴブリン 1個

 ・ゴブリンナイト 2個

 ・ゴブリンメイジ 2個

 ・ゴブリンアーチャー 2個

 ・ゴブリンモンク 1個

 ・ゴブリンシーフ 1個

 ・ゴブリンシャーマン 1個


 となっていた。


「あれ?ポシル上位種ってスキルあるよね?」


『はいマスター。上位種はその魔物の元々のスキルが大きく影響しています。例えば格闘術のスキルがあればモンクに、弓術があればアーチャーにと言った感じですね』


 やはり上位種はスキルが大きく影響しているようだ。

 そうするとおかしい事がある。


「ポシル?上位種の魔石にスキルが出てこないんだけど」


『そうなんですか?そういえば選り分けていた上位種の魔石が少ないですね』


「そうなんだ。例えばアーチャーなら8個の魔石に対して2個しかスキルのついた魔石しかないんだ」


 この6個は何故ないんだろう……



「あーーー!そういう事か!ポシル、アーチャー何体倒した?」


『はいマスター。私は確か2体倒してます』


「だよね。そういう事か〜。甘くないんだなスキルも」


『どういうことですか?マスター』


「うん。スキルを吸収するのには、そのモンスターのスキルを《観る》必要があるんだよ。アーチャーのうちポシルが倒した個体が2体。そして、僕が解析を使わずに倒したのが4体。解析したのが1体。だけどアーチャーのうち1体は、《正確な射撃》を僕は観てるんだ。だからこの場合スキルを観たことになってるんだと思う。まぁその他の魔石もそんな感じなんだよね。だいたい2体位確認したら、解析ぜずに倒してるし。その数がスキルなし魔石と一緒なんだよ」


 これは早めに気づいて良かった。


 こうなるとレアなモンスターとか、上位種は取り敢えず《解析》か戦いを観察する必要が有る事になる。


 ゴブリンなんて最初の方だけであとは面倒で解析してなかったし……。


 まぁノーマルゴブはほとんどスキルなかったし、あまり影響なかったと思うけど。


『そうなんですね。では今後、上位種を倒す際気をつけなきゃいけないですね』


「ん〜。よっぽどレアなケースじゃなきゃ大丈夫だと思うけど。取り敢えずもう一度。魔石のスキルを見てみようか」


 ー魔石 Cランクー【ゴブリンシャーマン】

【スキル】

 闇魔法 32

 火魔法 15

 

 ー魔石 Dランクー【ゴブリンナイト】

【スキル】

 盾術 34

 

 ー魔石 Dランクー【ゴブリンナイト】

【スキル】

 剣術 16


 ー魔石 Dランクー【ゴブリンシーフ】

【スキル】

 罠回避 12

 剣術 2


 ー魔石 Eランクー【ゴブリンメイジ】

【スキル】

 火魔法 8

 

 ー魔石 Eランクー【ゴブリンアーチャー】

【スキル】

 弓術 15

 

 ー魔石 Eランクー【ゴブリンモンク】

【スキル】

 格闘 12


 ー魔石 Gランクー【ゴブリン】

【スキル】

 剣術 2



 全てではないが、大方こんな感じだ。

 さすがにLv4の経験値は桁が違う。


 そして、注目はシーフの《罠回避》のスキルだ。

 これは今後の迷宮探索に欠かせないスキルだろう。ここで取れて良かった。


 《吸収》


 手に持ったビー玉程の大きさの魔石が、次々と粉々になり消えていく。


 体の中に力強いエネルギーが流れ込んでくると同時に、様々な魔石内にあった経験が流れ込み、新たなスキルとして発現していく。


 ピロン!

【スキルー盾術ーを取得 】

 盾術Lv1

 ※盾を扱うスキル 盾での防御に補正 最大Lv10


【スキルー弓術ーを取得 】

 弓術Lv1

 ※弓矢を扱うスキル 弓矢での攻撃及び命中率に補正 最大Lv10


【スキルー罠回避ーを取得 】

 罠回避Lv1

 ※仕掛けられた罠の発見と解除補正。難易度の高い罠の発見と解除が出来る。


【スキルー格闘ーを取得 】

 格闘Lv1

 ※無手での攻撃に補正 最大Lv10


 ピロン!

 全属性魔法LvUP <Lv3>→<Lv4>

 盾術LvUP <Lv1>→<Lv3>

 罠回避LvUP <Lv1>→<Lv2>

 弓術LvUP <Lv1>→<Lv2>

 格闘LvUP <Lv1>→<Lv2>


 終わった〜。

 今回は長かったな。さすがに。


「しっかしスキルが増えてきたね。それだけ強くなってるって事かな。今のところステータスがスキルに追いついていない感じもするけど、それは今後の課題だね」


『はい。マスターなら大丈夫です』


 相変わらずポシルは全面的に僕を信じてくれる。


 早く守れるだけの力をつけなきゃな。

 そしてポシル以外の仲間もね。

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