第7章 インターンシップ 第1話

 柴山らは、四年生になった。


 三年生には、新しく三名の学生が編入学してきた。また昨年一年生に入学してきたサーパスハンターコース希望の学生も無事に二年生に進級し、新一年生にもサーパスハンターコース希望の学生が入学してきたとの情報が入ってきた。


 こうなると、最高学年まで一気に揃ったことになるが、反面山里らの負担は大きくなってきている。ワイルドライフマネージメント社では、支店に配置していた二名のスタッフを本社勤務に呼び戻して、これに対応することにしていた。


 新たに加わったスタッフは、三宮と鈴木で、どちらも忍び猟が得意とのことであった。


 昨年の秋から冬にかけての狩猟技術実習で経験したことは、濃密であり、初体験となることもたくさんあった。


 全員が銃でシカを仕留める経験をしたし、神業だと教えられていた連射で二頭という捕獲を後田も経験することができた。


 はじめのうちは、山を覚えるために勢子として歩くことが多かったが、射手として撃つ経験も数多くさせてもらった。途中からはリーダーとして巻き狩りを仕切ったりとすべての役割を経験することができた。


 狩猟と合わせると、百回を超える巻き狩りをわずかな期間に経験するとともに、毎月開催されている練習会での射撃技術の向上で、捕獲の成功率も向上していることを実感していた。

 

 四年生最初の狩猟技術実習を前に、四人にはワイルドライフマネージメント社と同じユニフォームが貸与されることになった。


 それまでは、学校のユニフォームを着用して、現場では市販のオレンジベストと帽子を着用していたが、今年からは現場ではレジデントとして、より多くの責任についても学ばせるという方針とのことであった。


 ワイルドライフマネージメント社のユニフォームは、オールシーズン対応のハーフコート仕様で、色は紺。リバーシブルで、内側がオレンジとなっている。


 紺ならば街着としても違和感がないが、さすがにオレンジでは町中は歩けない・・・。


 優れているのは、まずはデザイン。


 若い女性狩猟者からは、ダサイと言われるこれまでのハンターベストとは、かなり違う。


 アパレルメーカーと共同で開発したオリジナルで、値段は若干高いかも知れないが、それを支払っても良いと思えるデザイン性と機能性をもっている。


 デザインでは、肩と肘の二カ所で袖が外せるようになっていて、夏はベストとして使うこともできるし、袖が簡単に外せることでサンプル採取の時に血液などで汚すことが無いように工夫されているところや、GPSや無線機、所持許可証、従事者証、ファーストエイド、装弾などの合理的な収納ポケットが適切な位置に配置されていて機能性にも優れている。


 胸には、社員証を入れておけるクリアポケットもあって、接客時にも着用できるように配慮されていた。


 これまでの狩猟者用のアウターは、どうも痒いところに手が届かないというところがあって、


 使い勝手が悪いものが多かったが、これはユーザーの要望を最大限活かしているものだった。


 パンツにも工夫があって、上下を組み合わせることで、山の中における活動では非常に使い勝手の良いものだ。


 背中には、マジックテープで社名とロゴが入ったワッペンを貼り付けることができる。街着とする時には、剥がしておけば違和感はない。


 ちょっとオシャレなワッペンをワンポイントで貼り付けることもできる。


 最初に現場で見たときから憧れていたユニフォームを渡され、四人は大いに盛り上がったが、最後に渡されたのはワイルドライフマネージメント社の社名とロゴが入ったワッペンではなく、学校名とロゴが入ったワッペンだった。


 これは仕方のないことだし、学生である彼らが文句を言うものではない。


 胸のクリアポケットには、「実習生」という文字と顔写真、学校名と氏名と血液型が記載されたカードを入れることになった。


「格好いいなぁ」


「どう、似合っている」


「あぁ、俺、ずっと欲しかったんだ」


「俺も。現場で無線機を使うときなんか、今までのベストだと扱いにくくて。それになによりも普段でも着られる」


「このユニフォームに恥じないように頑張らなきゃだな」

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