第6章 実践 第14話
記者は、狩猟の取材経験もあるらしく、それと比べると実施回数が多いことに驚いていた。
その後は、学生達に取材となった。
「瀬名さんは、どうしてこの学校へ」
やはり女子学生は、この世界では珍しいのだ。それだけに、ニュースバリューは高いことになる。
「私は、大学で野生鳥獣のことを勉強していたんですが、卒業後は実家の自営業を手伝うことになって、大学の勉強とは離れてしまうことになっていました。せめて狩猟で野生鳥獣の学習と繋がっていたいなって思って銃のライセンスを取得することにしていたんです」
「ほ~」
「大学の同級生の子と一緒に初心者教習を受けたんですが、その時ちょうど柴山君も教習射撃を受けにきていて、この学校のことを知りました」
「なるほど。それじゃ、最初からこの学校をというのではなかったんだ」
「そうですね。もう実家に引っ越す段取りも考えていた頃でしたから、急な進学決定で両親からは大反対でした」
「それは、大変だったね。今ではご両親も大丈夫なの」
「いえ、まだ二人とも納得してくれていません。今も叔母の家に間借りしながら、授業料もアルバイトです」
「へぇ~、それはまた大変だね。ご両親は何を反対しているのかな」
「まずは、私が家に戻らなかったことですかね。おそらくそれが、一番大きい理由で、女の子がそんなことをやってどうするのかとか銃は危ないとか、その後の理由は後付だと思っています」
「なるほど、箱入り娘ってことなのかな」
「そんなことはないです。いろいろと学生時代から経験させてもらっていましたから。まぁ、帰ってくるって言っていて、すっぽかしたのが面白くなかったということだと思います」
柴山、後藤、松山もはじめて聞く瀬名の進学理由だったが、これまでの彼女の行動力や学習に対する意欲は、彼ら三人も感心するところであり、本当はもっと深い理由があるような気もしていたが、取材用に当たり障り無く答えているようにも思えていた。
「もう、シカは捕獲できたの」
「いえ、私はまだ・・・。でも他の三人は前回の作業でしっかり捕獲しています。悔しいけど・・・」
「そうなんだ。じゃ、松山君はどんな風にシカを獲ったのかな」
そう声を掛けると、順番に三人の武勇伝を一通り聞いてくれた。
三人は、各々の経験を思い出しながら話したが、悔しい思いをしている瀬名の鋭い視線を各々が感じて、つい詳しく話したくなるところを、できるだけ完結にまとめて話した。
「みんな、すごいね」
と感心してくれたが、そこは記者の経験からか次の質問が出された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます