第3章 入学 第18話
二日目の専門科目の講師の面々を知ったところで、放課後の講義室で松山がスマホを操作しながら、つぶやいた。
「おい、今日の講師、全員ネットで検索するとヒットするぜ。この業界じゃ、全員有名人だぞ」
スマホの画面に出ていたのは、狩猟関係法規担当の山田先生のプロフィールだった。SNSのユーザー名も記載されていたので覗いてみると、フォローアーが数千人もいることがわかった。
いずれの講師も、確かにこの業界では有名人のようである。改めて、それぞれの分野でトップレベルの実力をもつ優秀な人物、兵站上最も重要な部分を任せられる人物、優れた作戦を生み出す参謀といった人材を集め、兵站の確保をきちんと行って行くことが、今後の鳥獣被害対策では重要であるという山里の講義資料が思い浮かぶ。
この学校は、真剣に人材を育成しようとしていることが、その点からも改めて認識することができた。
翌週からの講義でも、それは実感することができた。
いずれの講師の話も、業界の最先端の話題ばかりであるとともに、その背景となった出来事や法改正の裏話など、面白おかしく聞かせてくれる。
それでいて、最後には「君たちなら、どうする」という問いが投げかけられる。その問いのひとつひとつに答えられる人材になることが求められているわけで、毎時間が新しい情報との出合いであるとともに、解決策を考え、決断するところまでを求められるタフな講義が続いた。
二週目の『実践狩猟技術論』授業の時に、松山が課題となっていた名称についての案をもってきた。
「『surpass hunter』というのはどうかな」
「サーパスハンター?」
「そう、ハンターを上回るとか凌駕するっていう意味。うちのお袋が考えたんだ」
「サーパスハンターかぁ。良いね、それ!」
ということで、山里に話すと
「おぉ、なかなかだな。じゃ、これからこのコースは、『野生鳥獣管理コース』じゃ、長ったらしいから『surpass hunter course』と呼ぼうか。
山里にも納得してもらえて、松山は満足そうだった。
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