第3章 入学 第14話
「被害対策事業における作戦は、多くの場合その事業の仕様書で決められている。
柵の仕様や設置距離数、捕獲努力量や捕獲目標頭数の設定などは、この段階で普通決まっている。
あわせてどのような方法で実施するかとか、捕獲個体をどのように処理するかなど、実施計画の作成において決められるものが、作戦であると考えれば良いかな」
ちょっとイメージしにくかったが、いついつまでにシカを何頭獲ってという事業の性格が決められている段階が作戦ということになるだろう。
「多くの場合、机上において、種々の調査データ等を参考にして立案されることになるけれど、この段階で現場を知らない担当者が、『机上の空論』として作戦を作ることが多くの失敗例を引き起こしているわけだ。
各方法の捕獲効率やそれに掛かる費用などは、数値化されているから、大きく間違えることはないけれど、現場の地形や植生などは、現地を知らなければ作戦に活かすことができないからね」
そりゃ、そうだ。現場を知らないのに、作戦なんて描けるはずもない。学生にもわかる当たり前のことだが、それが現場ではそうではないっていうことを言っている。
本当の捕獲現場って、実際のところ上手く行っている事例ってあるのだろうか。
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