君(のおっぱい)が好きなんだ！

日曜日のデート。

優衣との約束の日曜日。

待ち合わせの時間は午後、デートと買い物の為に俺達は少し遠出をすることにした。

一応、事前にデートの服を調べてみた。

流石になんというか、チャラめな連中が着そうな服ではなく、安めの服のブランドの服で、それらしく清潔感があるようなコーディネート。

まあ、センスないので、ネットショップのおすすめをそのまま使ったが。

そこまでひどくはないだろう、たぶん。

そして、優衣が待ち合わせの駅前の広場にやって来た。

「――可愛い。優衣、髪を切ったのか」

「う、うん。姉がね。美容院に連れて行ってくれて」

優衣は髪は涼しげなショートカットになっていた。

そして、着ている服はフリル付きのオレンジ系のノースリーブ、明るい青のデニムスカートだった。

普段は制服ばかりだから、とても新鮮で可愛い姿だ。

「凄く似合っている、可愛いよ」

「あ、ありがとう」

俺は優衣に手を差し出すと優衣も俺の差し出した手を取り、俺達は歩き出す。

今日の目的はコスプレ用の練習の為の安い化粧品とウィッグだ。

実は優衣は昨日夕方、ＳＮＳで俺に今日の目的地のお店の一つで、コスプレ衣装を購入したことを教えてくれた。

既に料金を払っているらしく、そのお店はお姉さんの紹介でもあったそうだ。

ネットで購入するとサイズが合わないなどのトラブルが起きやすいが、今日行くお店でサイズの調整などをしてくれるらしい。

お姉さんも使っているお店だとか。

「あ、結構人通り多いな」

「そうですね。危ないので」

「ああ、仕方がないな」

二人で手を繋いで歩いたが、割とすぐに手を離すことになった。

結構人通り多いからずっと手を繋ぐと通行の邪魔になるだろうし、横断歩道のところで結構な人とすれ違ったので、お互いに声をかけて手を離した。

残念だ。とは思うが安全第一だ。俺は優衣の歩幅に合わせながら、優衣の隣か後ろを歩く。

「睦月さん大丈夫？　わたしに合わせて歩くの大変じゃない？」

「問題ないよ」

女の子と一緒に歩く時の歩幅のことは、昔から父親に言われていたことだ。「歩幅は女の子合わせなさい」と、過去に何があったのか知らないが。

父親のこういうことは、素直に聞いておくと失敗しないことが多い。目の前で失敗されているからな。

「睦月さん、優しいよね」

「そうか？」

「うん、その同じくらいの男の子達の行動を見ていると」

「あー、そっか」

たまに結構それはどうなんだ？　って言う同じくらいの年齢の奴は見かける時があるな。頻繁ではないが。

「ま、それは置いておこう。最初はどこに行く？　話していた近くのショッピングモールか？」

「はい、まずはそこで」

最初にやってきたのは駅の近くにあるショッピングモールだ。

街の再開発計画で作れた場所でかなり、充実した施設が揃っている。

というわけで、さっそく化粧品の専門店。ではなくて、低価格でなんでも揃えている店へ。

コスプレ初心者向けのサイトで色々と化粧について調べたら、結構初心者におススメの低価格で購入できる化粧品の情報もあった。

上級者やモデルなら高い化粧品がほしいだろうが。

優衣はコスプレも化粧も初心者なので、お姉さんのアドバス通りに基本的なモノを購入した。

「色々とあるんだな」

「そうですね。下地やファンデーション」

「その辺なら、テレビで聞いたことがあるな。コンシーラー？　とかはあまり聞きなれないな」

「私もです今まで化粧なんてしてこなかったから」

ちょっとわくわくした雰囲気の優衣の横顔を眺めながら、俺は優衣と化粧品について話してみた。

一応、俺も軽くは調べているが、良く分からなかったが実際の商品を見ながら、確認すると中々面白いと感じた。

なるほどね。確かにこれは、プロのメイクさんなどがいる訳だ。

「これくらいですね」

「分かった」

優衣が化粧品を購入すると、次の目的地へ。

と言っても、同じショッピングモール内だけれど。

「下着？」

「はい、下着です」

「なぜ、下着？」

「……ご褒美の下着。ここでちょっと準備します」

「え？」

俺が聞き返すと優衣は近くにあるベンチを指さして「そこで待っててください」と言って、店に入って行った。

え？　え？　ええ？！

俺は軽くパニックになりながら、大人しくベンチで座って、ドキドキしながら優衣の帰りを待った。

そして、優衣は顔を赤くしながら、俺の隣に座り。

「ふー……」

息を深く吐きながら、俺にショップの袋を渡してきた。

「使用済みではありません」

「ぶっ！」

いきなり何を言い出すの！？

「確認してください。その睦月さんのリクエストの色はあったけれど、ちょっと古くて、その代わりに新しいのを買いました」

明日、放課後にちょっとだけなら見せてあげます。と優衣に言われて俺は思わず優衣を抱きしめてしまった、幸い周りには人はほとんどいなかったが、下着を買ったショップの店員がこちらを見てほほえましそうに笑っていたのが視界に入った。

少しして、俺と優衣はショッピングモールから出て、ちょっと隠れたコスプレショップのお店へと向かう。

まあ、ちょっとそうなのかもしれない。とは思っていたけれど、やはり優衣のお姉さんから教えられたお店は一階はゲームソフトを売る店で、二階の半分がR指定の店だった。

けれど、しっかりと品ぞろえと質は良かったのだが。

「あら、雪美から話は聞いていますよ。良く来ましたね」

お店の店長の女性。リアさんはかなりクセの強い人だった。

と言うか、第一印象から、すごかった。

水着みたいな露出度の高い女魔導士のコスプレしていたし。

ちなみに雪美さんは優衣のお姉さんのことだ。

リアさんは雪美さんのお友達で、コスプレ初心者の優衣に色々教えてくれるらしい。

「でも、いいわね。彼氏と一緒にデートしながらコスプレ衣装を選ぶなんて」

「そ、そうですか？」

「ええ、趣味を理解してもらえないこともあるし、同じ趣味だとしても私の場合男性と出会うところはイベント会場。あまり言いたくはないけれど、コスプレエッチが好きで下心が多い人が多いから」

「そ、そうですか」

「な、なるほど」

答えづらいこと言わないでください。優衣もなんて答えたらいいか分からない顔をしていますよ。

「じゃあ、えっと既にウチで購入したって聞いたけれど」

「あ、はい」

「じゃあ、持って帰る？　それとも彼氏用にもう一着？　今ならコンドームもサービスするわよ」

「――こっ」

なんて答えたらいいんだこれは？　ってか、優衣にグイグイ行くなぁ。

「水着のコス衣装の下のニップルレスとか買った？」

「いえ、まだです」

「ならば、そういうのも教えてあげましょう。ところで彼氏」

優衣から俺へ視線を変えるリアさんは俺

「はい、なんですか？」

「ニップレスはハートがいいかしら？」

「ハートで色は赤でお願いします」

「睦月さん！？」

優衣が驚くが、その辺は無視する。無地の方が安いが。ハートの赤いニップレスは俺の我が儘なので、しっかりと料金は建て替えた。

もちろん、優衣は恥ずかしがり、全力で拒否したが。

リアさんが色々と耳打ちすると渋々ながらも俺が買ったハートのニップレスを受け取ってくれた。

幸い、優衣の購入した水着のコスプレ衣装は、厚いのでハートの赤いニップレスを付けても透けたりしないようだ。

「じゃあ、小物の紹介はこの辺で」

コスプレ衣装のスペースには、ウィッグやカラーコンタクトなどもあった。

まあ、優衣の場合はウィッグを購入することにしたわけだが。

「中古だけど、しっかりとクリーニングをしているから安心してね」

「ありがとうございます」

「気にしなくていいわよ。こういう部分を手を抜くとあっという間に悪評がネットに広がるから、もう不自然なほどにね」

笑顔だけれど、目の奥が笑っていない。過去に何かあったんだろうな。SNSとか殆んどやったことないから、炎上なんて経験したことないけど、店の経営に関わる社員だとその辺は神経質な方がいいのだろうな。

「じゃあ、お会計するわね。それが終わったら、二人とも店の奥に来てくれる？　衣装の調整してあげるから」

「いいんですか？」

「ええ、いいわよ。実はこのキャラの水着って在庫が多くて減るのは歓迎なのよ」

ああ、結構有名なソシャゲのキャラの水着だからな。それだけコスプレされることも多いか。

と言うわけで、優衣がウィッグの会計が終わった後、二人で店の奥へとすすんだ。

店の奥の衣装の手直しをする作業スペース的な場所に案内された。

作業スペースの半分はカーテンがあって、着替えることが出来るようだ。

「じゃあ、さっそく着てみてね」

「は、はい」

俺は何か言われる前にすっと優衣とリアさんに背を向ける。

「彼氏は紳士だね」

「は、はい」

そして、背後ではカーテンを閉める音と着替える音が聞こえる。

その気はなくても、優衣が服を脱ぐ音が耳に入る。

うん、エッチだ！

「うん、これでいいね。彼氏もうこっち向いて」

「は、はい」

俺がカーテンの方を見ると、リアさんがカーテンから顔を出して、こう告げた。

「では、ご覧あれ」

すーっとリアさんがカーテンを開けると桜色のショートカットのウィッグと白を基調としたビキニの水着のコスプレ衣装を身に着けた優衣が立っていた。

ソシャゲの規制と言うか全年齢ゲームの為に、ビキニの胸の部分の上にさらに一枚フリルが付いていてビキニの縁の色は赤で赤のラインが白を際立たせる。

フリルがなければ、普通の可愛いビキニの水着だが。実はビキニの胸の部分の布地は意外と少ない。そして、ゲームよりもビキニの下の方も面積が少なくされている。

とはいえ、思い切り少ないというわけではなく、ちょっと毛の処理をしないと、と言う感じだ。あまりジロジロ見ると優衣が怒るのですっと視線をそらす。

うん、ビキニって着るの大変そうだな。手入れとか。そういう意味ではお姉さんが昨日のうちに色々教えてくれたんだな。

「あ、忘れるところだった。この麦わら帽子もね」

「おっ、すごい。」

うん、すごく良いな！ 麦わら帽子が無くても可愛かったけど、アイテム一つで海にいそうな、清楚系の水着美少女になった！

「可愛い、似合っているよ。優衣」

「あ、ありがとう」

照れた表情で、俺と目を合わせない優衣が可愛い。

そのまま、抱きしめたくなるけれど流石に我慢する。

「優衣、そこでくるっとモデルみたい回って衣装を見せてもらってもいい？」

「え、あ、はい」

優衣はちょっと戸惑いながらゆっくりとその場で回って、俺に無防備に背中と形の良いお尻を拝ませてくれる。

俺は即座にリアさんにグッジョブ！　と親指を立てる。

リアさんも笑顔で親指を立てて、返事をくれる。

「サイズも大丈夫だし、動いてみた感じはどう？　苦しくない？」

「え、あ、はい。大丈夫です」

「ううん、立った状態ではなくて、そこで少し屈伸とかしてくれるかな？　物を落として拾おうとしたときに胸が苦しいとか結構あるから」

「あ、はい。分かりました」

そして、そこからリアさんが優衣に軽く体を動かさせる。

地面に屈ませたり、振り返らせたり、かなりおっぱいがぷるんぷるんする優衣。

いやぁ、いいね。グラビアアイドルみたいだな。いや、グラビアアイドル以上に素晴らしいな！

「大丈夫そうね」

「はい、苦しくないです」

こうして、優衣は再び着替え。コスプレ衣装を包んでもらい。引換券とコスプレ衣装を交換した。

ただ、麦わら帽子はこの衣装のものではないらしい。まあ、イベントでは帽子を持っていけのは難しいので問題ないだろう。ゲームでも基本の立ち絵では、麦わら帽子を外していたし。

思っていたよりもコスチュームの調整りビキニの紐の長さなどで、時間はかかったが、まだ時間はある。

「どこか、行こうか？」

「どこか、ですか？」

「帰るには早いし、まだ一緒にいたいなって」

「私も一緒にいたいです」

とはいえ、どこへ行こうか。

「どこへ行きましょうか？」

「二人きりになれると嬉しいけど、我慢できなくなりそうだし」

冗談めかしに、そういうと優衣は笑いながら、こう告げた。

「別にいいですよ」

「……はい？」

優衣を見るとじっと俺の目を見ながら、こう告げた。

「睦月さんの家に遊びに行っていいですか？」

優衣の言葉に俺は驚いて優衣の顔を見ると優衣もジッと俺の顔を見る。

「え、えっと、我慢できなくなりますけれどよろしいでしょうか？」

「うん、いいよ」

まったく予想していない返事に、俺は優衣に聞いていた。

「なぜ？　優衣あまりそういう直接的なのは避けていたよね？」

「そうですね。避けてますね。けれど、睦月さんは確かに私のおっぱいばかり見ていましたが、私のことも好きでいてくれた」

優衣は何かを思い出すかのように呟いた。

「実は告白されたことが過去にあるんです。けど、今思い出してもセックスしたくて、それだけの為に好きだと言っていた気がします」

「俺も優衣のおっぱいが目的だったよ？」

「ええ、知っています。けど、睦月さんあまり性欲がないですよね？　純粋におっぱいだけが好きなんですよね？」

それなら、睦月さんがいいなって、初めては。そう柔らかく笑う優衣に俺は「いいえ、すごく性欲が強くて普段我慢できているのは自己鍛錬のお陰です」などと言える訳もなく。

「いいんだね？」

「は、はい」

こうして、俺は優衣と共に俺の家に向かった。

両親は仕事大好き人間なので、半分独り暮らしみたいなところがある。

お互いに手を繋ぎ、道を歩き。電車に乗り駅から降りて俺の家に着くまでお互いに無言でそれでも、手を繋ぎながらお互いにドキドキしつつ家にたどり着いた。

そして、家のカギを開けて家の玄関に入り扉を閉めた。

お互いに俺達は目を合わせる。ちょっとお互いに息が荒い。

照れくさくて、お互いぎこちなく笑った。

「上がって」

「うん」

俺は優衣を自室へ案内して、荷物を置いた。

クーラーのスイッチをオンにして、優衣と向き合い。ゆっくりと俺が優衣に近づいて抱きしめる。

「緊張してきた」

「わたしもです」

そして、そのまま俺と優衣はベッドに腰を下ろして、優衣を優しく押し倒す。

「優衣、好きだ」

「はい、私も睦月さんが好きです」

どちらからとなく、唇を重ね合わせて俺達は――。

☆

――優衣の家　優衣の自室

「ご愁傷様」

自室のベッドの上で仰向けで横になりながら、優衣は全力で落ち込む。

その優衣に慰めの言葉をかけたのは既に成人を迎えてOLをしている優衣の姉、雪美だった。

「あ、あんなに混乱するなんて思わなかった」

「驚いて固まる。って聞いたことはあるけれど、ビンタはどうかと思うよ。彼氏、本当に大丈夫だったの？」

「あ、うん」

優衣は睦月の家へ行き、そのままちょっと早めのひと夏の思い出を作る寸前までいった。

だが、結果的には優衣が第一種戦闘準備中の睦月の主砲をしっかりと目視で確認した瞬間に、脳が大混乱した。

オタクなので、いろいろと調べていた。男性の主砲に体制が付いたと思っていた。

いや、大半の人間はある程度見れば慣れてくるが。

やはり、好きな男の子の主砲は流石に羞恥心を一気に煽る結果となり、優衣は反射的に睦月にビンタをした。

それが原因で、一気に雰囲気が壊れてしまい。

そこから、睦月と優衣は謝罪合戦となってしまった。

最後は優衣が号泣してしまい、睦月は泣き止むまで優衣を正面から優しく慰めることになった

「明日から、どんな顔をして会えばいいのかなぁ」

涙交じりの声に、雪美は溜息をつく。

少し考えて、フォローしておこうと雪美は思い、優衣のスマホを貸してもらい、優衣に許可をもらって睦月に電話をすることにした。

「ま、私からも謝って少し向こうの話も聞いてみるから、待ってなさい」

「う、うん」

雪美は可愛い妹の処女的な反応に微笑ましく思いながら、妹の彼氏に挨拶と謝罪の為の電話をかけた。

☆

失敗は誰にでもある。

少し痛む頬を撫でながら、今日の失敗を振り返る。

まあ、簡単に言えば、お互いに初体験を迎える時に、女の子の優依に「部屋の電気消すか？」くらい言うべきだったのだ。

彼氏の俺とのスキンシップで耐性が出来たとは言え、いきなり鍛えた主砲を見たら、誰だって驚くし羞恥心が爆上がりするのも無理はない。

正直、俺は初体験を迎える。と自覚していてもかなり冷静だった。

優依も俺の主砲を見るまで緊張はしていたが、平気だった。

ネットで知識を得て、初体験の体験談を探し、年齢偽って、夜に男が己の主砲を鍛練するガジェットで初めてでも早打ちしないように磨き上げたりした。

それでも、優依との初体験は俺が暴走して優依を泣かせる可能性の方が高いと思っていたが。

「優依の心が耐えきれなかったか」

付き合って、それなりの時間が経った。

俺よりも優依の方がもしかしたら、焦っていたのか？

激しいスキンシップはしていたが、本格的にそう言うのは求めてなかった。

けど、周りから何か初体験に関わる何かの話を聞いて、俺の家に来たいと言ったのかもしれない。

「まずいなぁ、これが切っ掛けでギクシャクは嫌だな」

ついさっき、優依のお姉さん。雪美さんから電話がきた。

優依の番号なので、ちょっと驚いたが。優依が落ち込んでいるみたいだ。

「うーん、明日普通に放課後を二人きりで過ごすのも悪くはないかもしれないが」

うん。優依には今日のビンタのお詫びとして、明日は俺のお願いを聞いてもらおう。

つまり、優依が落ち込んでマイナス思考に行かないように、意識をちょっと強引に引っ張ろう。

実は前に、いつか優依に着てもらおうと思って、安いコスプレ衣装を購入している。

そう、オレンジ色のチアガール衣装だ！

それと、二人きりよりも、ふわふわちゃんを呼ぶか。

イベントの時期が時期だから、参加したいけど微妙だと言っていたけど。

「さて、今彼女は電話に出れるかな」

俺は優依が今日のことを引きずらないように、計画を練ることにした。