第116話 皇后杯に向かって
後藤「さて、いよいよ皇后杯の地域予選が始まるわけだが、選抜メンバー25人を発表しなければならない。今回を機に今シーズンのユニフォームも変更するから背番号も変える。私が決めた背番号と合わせて発表するからよく聞いてほしい。」
1:愛子(GK)2:真希(DF)3:雛(DF)
4:美春(DF)5:真帆(DF)6:萌(MF)
7:花(MF)8:仁美(MF)9:梨子(FW)
10:つばさ(MF)11:千景(FW)
12:美羽(GK)13:柚月(MF)14:樹里(DF)
15:悠香(DF)16:沙江(DF)17:つかさ(FW)
18:瑞希(FW)19:伊織(MF)20:咲(MF)
21:雅(MF)22:凛(MF)23:メアリー(GK)
24:珠紀(FW)25:佳代(DF)
後藤「色々と思う者もいるかもしれない。だが、君たちは選ばれているからにはしっかりと実力はある。自信を持って予選に臨もう。キャプテンは千景、副キャプテンは真希。以上。」
ミーティングの後、後藤は例の件以来初めてつかさと1対1で話した。
後藤「キャプテンを外され、トレードマークの10番を失った君は何を思った?勿論、意地悪や貶めたいといった考えでこうした訳ではない」
つかさ「私自身の再スタートの為に選んでくれたと思っています。」
後藤「そうだな。よく分かっているようで安心した。さて、水戸大学のフォーメーションを今から君に見せる。いつしかやったように、君には今からポジションを立ててほしい。ベンチメンバーなどは考慮できればで構わない。」
水戸大学フォーメーション予想(攻め方向↑)
○ ○
○
○ ○ ○ ○
○ ○ ○
○
つかさはホワイトボードのマグネットを動かして数分後、納得が行くと後藤に見せた。
後藤「分かった。このフォーメーションで行ってみよう。ベンチメンバーはまた検討する。」
9月1日、天気は晴れ。紫の新フィールドユニフォームと緑の新キーパーユニフォームを見に纏った佐倉中央高校のメンバーは水色のユニフォームの水戸大学と相見えた。観客席には佐倉中央の父兄や友人、学生が多く座っている。
佐倉中央のスターティングメンバーは以下の通り。(攻め方向↑)
GK:1 愛子 MF:8 仁美 MF:9 梨子
DF:2 真希 MF:13 柚月 MF:22 凛
DF:4 美春 MF:21 雅 FW:11 千景
DF:5 真帆 MF:10 つばさ
千景
雅 つばさ 梨子 凛
仁美 柚月
美春 真希 真帆
愛子
リザーブ:美羽(GK)樹里(DF)雛(DF)
萌(MF)伊織 (MF)花(MF)つかさ(FW)
円陣の中で千景はスタメンのひとりひとりと目を合わせて声をかけた。
千景「相手は大学生。言葉を悪くすれば無名のサッカー選手。私たちの方が実力は抜きん出ているって思って戦おう。早いうちから点をとって弾みにしよう!レッツゴー!佐倉中央!」
「オーーーーー!!!!!」
先行は佐倉中央。千景がつばさにバックすると両サイドの雅と凛が同時に走り出した。つばさは右サイドの凛にロングパスを出すが、大学生は高さやフィジカルの面では一枚上手だった。しかし、セカンドは真帆が競り勝って真希が収めた。真希は一旦愛子に下げてビルドアップをするために全体も位置を少し下げさせた。
つかさ(落ち着いてる。大丈夫。)
佐倉中央は自陣で回し始め、ポジションや体制を建て直し、ある程度整うと愛子は今度は逆の左サイドに大きく展開した。雅が半身で受けて相手を背負うと、美春がオーバーラップしてそこにボールを出した。美春は相手のSBが寄せてきたのを見ると自らボールを前にインサイドで転がして走った。コートの外に出てまでも走る美春に会場は湧くが、SBは身体をぶつけて美春をコート外に押し出してボールを追いかけた。美春はバランスを崩して1回転するが、主審は笛を吹かない。しかし千景が先にボールに追いつき、SBに蹴り当ててCKのチャンスを得た。しかし、二人は今にもヒートアップしそうな展開である。主審は二人を引き離して口頭で注意をした。ボールをセットしたのはつばさ。ペナルティエリアのどの位置に蹴り込むかを慎重に考えている。そして蹴る位置を決めると、そこ目掛けてカーブをかけたボールを送り込んだ。狙った先は千景。千景は飛び上がって頭で合わせようとするが、GKが弾き出した。ミドルレンジには凛がいるが、慌てずにワントラップを挟んだ。
凛(シュートは厳しそう…。だったらこっちは空いてるはず!)
パスしたのは逆の右サイド。そこには仁美が待ち構えており、ボールをダイレクトで上げようとするが、その瞬間に水戸大学の守備陣はラインを押し上げた。
梨子(やばっ!オフサイドトラップ!)
ペナルティエリアに残っていた佐倉中央の選手は全員オフサイドポジションになっていたが、仁美は既にクロスを上げてしまった。
柚月(私はオフサイドじゃない!)
エリア外から走り込んできた柚月はピッチ内で最も身長が低かったが、その時だけは誰よりも高い位置でボールを触った。完全に虚を衝かれたGKは手を伸ばすもボールに対する反応が遅れたために全く届かず、ボールはゴールネットを揺らした。柚月はすぐに走り出し、観客席にいた家族にガッツポーズを送った。父親は満足そうに頷き、母親は下の子たちと共に手を振っている。
柚月(これで少し恩返しはできたかな?)
真希「まだまだこっから行くよ!」
佐倉中央はここから一気に攻め立てたいところではあったが、相手の中盤から守備にかけて常に7人の選手がおり、なかなかゴールには在り付けない。先に動いたのは佐倉中央であった。
後藤「つかさ、花。このまま戦況が動かないと後半にかけて不利になる。30分に交代だ。」
花「はいっ!」
つかさ「分かりました!」
相手のシュートが外れてボールがラインを割ると、4審はボードを高く掲げた。
前31 選手交代
OUT:21 雅 22 凛
IN:7 花 17 つかさ
会場からはつかさの復活に大きな拍手が送られた。つかさは凛とタッチするとコートの芝を触ってピッチに入った。
つかさ(ここからが再スタート!絶対に良いプレーをしてみせる!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます