『40』 しがない探偵と言ってみたかった

        1つ前のページ⤴『14』



 店長は、店の入口近くのレジに座って、なにか作業をしていた。

「すみません、ちょっとよろしいですか?」

「はい! ご注文ですか?」

「いえ、ダンゴ盗難事件について話をお聞きしたいんです」

「ダンゴ盗難事件!? さっきお客様が騒いでいたのはそういう事だったんですか…」店長は立ち上がった。

 背は俺よりも高い。アフロをターバンで巻いて、シューマイに見える。

焼売やきうり 弾五郎だんごろうと言います。ダンゴ専門店、『ダンプリング』の店長をしています。宜しくお願いいたします」

 見た目とは裏腹に、とても普通の対応だった。こちらも名乗らなくては。

 俺は探偵事務所では、門崎さんの弟子、千里 疾斗として働いているが、対外的には厭生 弗篤探偵その人として活動している。

 その理由は本物の厭生探偵である、門崎さんがなるべく休みたいからという、めちゃくちゃ門崎さんの私情なんだけれど。

 門崎さんという後ろ盾がいない中での『探偵業務』は今回が初めてだった。程よい緊張と興奮。武者震いだ。この事件、やりきってみせる。

「私は厭生いとう 弗篤ふぃーとと申します。しがない探偵でして、少しでも協力させてもらいたいのです。もちろん、調査料はいただきません」

「今日は朝から色々あって、手が幾つあっても足りなかったんです。すみませんが、よろしくお願いします」


 ◇選択肢


 ・ダンゴの注文について→『26』ページへ



 ・席の3人について→『12』ページへ



 ・朝から色々あった、とは?→『22』ページへ


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