静かな部屋で

乙葉 琴音

起1

あれは、まだ少し暑く

外なんかに出たく無くなる季節だった。


当時私が14歳の頃の話。


「あーあ、ほっっっとうに暑い!!

なんなのこと暑さ!

何もしたく無くなるよ!」

まるで空のように綺麗な髪色をしているのは、

アリス・リデルだ。


王族だと言うのに、

だるそうに頬ずえをつき猫背である姿はとても王族とは思えなかった。


「確かに、暑いけれどその体勢は王族がしていい体勢ではないわよ?

アリス?」


とても綺麗な林檎のように赤い髪をしているのが、

私より2歳年上のカーレン。


「まぁ、確かに暑いわね。

でも涼しくしてるようなものはこの国にはないかと……」


木を思い出すような茶髪の少女はグレーテル。


「そういえば、グレーテル!

お医者様は、目の事なんて言ってたの?」


「ちょっ!アリス!!」


止めようとするカーレンにグレーテルが

大丈夫だよという。


「お医者様は、……

あと少しで治るかもと言っておりましたわ!」


そう言うと、ニコッと笑っていた。

そう、彼女は目が見えていないのだ。

わたしには想像も出来ないが、本人曰く、

ずっと暗いらしい。

そう考えると怖いなと感じた。


よかったね!と喜んでいたのもつかの間。

誰かがドアをノックし、失礼します!と大きな声で言った。

どうぞというと扉が開いた

兵士だ。


「王様から命令です!

至急王座の間まで集合との事です!」


カーレン「えっ!?お父様が!?」

いつも冷静なカーレンが驚くのも無理はない。

なぜなら、

私達、姉妹達は父様にあったことも無いのだ。

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