第22話 ほら、こっちにおいで

「はい、どうぞ♪」


 妙に気持ちの良い、的確過ぎるマッサージに虐められてしばらく。

 気絶から目を覚ませば夕食の用意がされており、女帝が何度も何度も酒やら食事やらを勧めてくる。

 逃げようにもリエルが背もたれになるようにぐるり、と半円を描いているので後退する事も出来ない。


「んふふ、顔真っ赤♪」

「もう、もぅ、無理。もぅ、飲め、ない。食えない、って。」

「あぁ、そうなの?」


 抱えあげられ、ベッドに降ろされたかと思えば顔の左右にドンっと両手を突かれてしまう。


「んふふ、本当に可愛い子。このまま全部忘れて私に依存してしまって良いのよ?欲しい物は全部与えましょう、願いは全て叶えましょう、貴方を傷付ける物は全て全勢力を挙げて穿ってみせましょう。それとも貴方の綺麗な首に首輪の代わりに豪華なネックレスでも着けてしまいましょうか。両手には私とお揃いのブレスレットでもしてしまう?ピアスの穴も開けて、インカムも着けて。そうだ、ちょっとだけ体を切開して心臓の近くにGPSでも埋め込んでしまいましょうか。ねぇ、時雨ちゃん。」


 するり、と両頬を隠されて


「早く私の物になって。幾つになっても、どんな姿になっても、ずっとずっと愛し続けてあげるから。駄目?」


 今度は右手を取られて、ゼルディアの片頬に添えられてしまうが目の前が酷くちかちかとして、そのまま目を閉じた。




「あら、寝ちゃった。」

『でも、もう時間の問題でしょう。』

「んふふ、やっぱりそう思う?」


 腹も膨れ、たらふく酒も飲んで熟睡してしまっている時雨ちゃんの傍に横たわってぎゅっと抱き込み、後頭部をしっかりと抱き込む。


「愛してるわ、時雨ちゃん。私は貴方の全てを赦してあげる。今までも……これからも。」

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