第15話 甘い甘い甘言
真っ暗な夢の中、小さな私がお母さんを呼びながら泣いている。その声はどんどん小さくなり、ゆっくりと目を開ければ髪の長い誰かが読書をしながらベッドの裾に居る。辺りは暗くて、それ以外はよく分からない。
「……おか、あ……さん……?」
「ごめんね、時雨ちゃん。私だよ。」
「女……帝……。」
「時雨ちゃん、ここに来る前の国、秋しかなかったんだってね。ここは四季があるから気温差になれてなくて体調を壊し易いんだってね。ごめんね、気付いてあげられなくて。」
優しく頭を撫でられ、安心してしまう。まるで、本当に母親に撫でられていると思ってしまうくらいに。
「……お前。」
「んー?」
「魔法……でもつか、って……?」
「ううん、何も使ってないよ。そんな事より、食欲は?少しでも食べてもらわないと。」
もう目を開けるのも辛くて、フラフラしているとゼルディアに優しく手を握られる。
……?
「私をお母さんにしても良いんだよ?」
……パシッ。
少し時間が掛かったがその手を何とか払うが熱が高くなったのか、力が入らなくて、意識も遠ざかって焦る女帝を視界の端に入れながら目を閉じた。
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