生まれる国や世界、生きている世界情勢や周りの一般的文化が違えば

夜櫻 雅織

第1話 やっと着いた異郷の地で

 やっと……やっと、着いた。

 元々住んでいた国から約23kmの所にある、科学と魔法の国、スペアマジリア。入国検査も厳しく、法律も厳しいらしいが女帝がかなりの物好きらしい。今回、元々住んでいたα国からの命令で暗殺者として来る事になった。

 ……本当に、大丈夫なのか……?

 「君は入国条件を満たしてるし、しっかりしてるから大丈夫大丈夫」と軽い言葉を貰い、沢山の不安を抱えながらも移動日数は85日。一応観光しても良い事になってるから滞在日数が指定されてないのは救いだな。まぁ、そこまで平和ボケしていないが。

 何故か全く監視されている様子のない検問と城の真裏にある巨大な壁には向かわず、敢えて人通りの多い東側の城壁を登り、国の中へ侵入する。そのまま建物の屋根の上に上がり、音を鳴らさずに屋根を飛び回り、偶然空いているベランダから場内に侵入し、指定されたルートで何とか女帝の職場に入り込む。


「うーん……ねぇ、そこの君。」

「は、はい!如何されましたか、陛下。」

「もー、そんなに緊張しなくて大丈夫よ。質問なのだけど、貴方は……何処の出身?」

「わ、私は第6地区の生まれであります。私のような者が陛下の仕事場である執務室の警備を任して頂いている事に心より感謝しております!」

「そっか、第6地区か。確か……将来軍人を志す人が多い地区ね。あの地区で生活に対して不満や不安を感じた事や悩みはあった?」

「悩み……ですか?……そうですね……。……あ、最近はあそこの近くに色町が出来て、自主訓練の妨げになる……と、軍養成学校に通ってる友人が悩んでました。」

「ふーん……色町、ねぇ……。……OK、分かったわ。私、実は色町とかそっちの系の話、大嫌いだし……この国には必要ない物ね♪うん、次の議会で法律に付け足すよう議論してみようかしら♪」


 女帝は席から立ち上がり、入口へ向かう。

 一体何処へ……?


「陛下、何方に?」

「ヒント、現在の時刻は?」

「し、失礼致しました!行ってらっしゃいませ、陛下!」


 女帝は廊下を進む。しかも、とても楽しそうに。

 確か、この先には訓練場があったはず……。まさか、ばれたのか……?

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