contract the alive

劣白

始まり

 楽しい学校生活に、素敵な恋人。親はとても優しくて過保護なほどだが仕事が忙しいらしく、休みの日以外はあまり家に帰ってこない。しかし、祖父が我が子を見るかのように面倒を見てくれて、決して恵まれているとは言えないかもしれないが、今の私は幸せかと問われれば迷わず幸せだと断言ができる。それは揺ぎ無いもので、誰にも譲れないほどに自信を持って言え、私は誇りに思っている。人生の最高潮だと言っても過言ではないだろう。




 しかし、そんな私にも一か月前までは絶望に打ちひしがれていた。傍から見ればきっと私の表情は絶望という絵に絶望を振りかけたかのような、闇に満ちた顔をしていただろう。実際に思い返すとあの時の私は本当に落ち込んでいて、色んな人に心配を掛け、学校でも陰気な雰囲気を纏っていたので迷惑だと感じられていた筈だ。




 それが最高潮幸せに変わるまでには丁度一か月という月日が掛かった。女性の平均寿命は八十七歳であり、月にしたら千四十四か月だ。それの一となると大変短い期間だろうが、私にとってその一か月は衝撃的なもので、濃厚な浮き沈みが激しい毎日が続いていた。それこそ、その衝撃を超えられる一か月は存在しないだろうと思う程に……




 さて、私は今からその衝撃的で誰も経験しないであろう一か月を、この日記帳に記しておこうと思う。




 どこから話そうか?




 いや、迷うことない。忘れもしない一か月前の五月一日から話し始めよう。

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