1.3 本物の小月千穂さんが勃ってた

 ん? そのままの意味だよ。オナニー禁止。君も挑戦したことぐらいはあるだろ。ないのか? じゃあ今すぐにでも始めるべきだ。そして、必ず成し遂げるべきだ。理由はあとで教える。


 話を戻そう。俺のオナ禁についてだ。


 小月さん大好き人間になって、小月さんがわりと成績悪くないこととか知っちゃって、やっぱ俺もがんばろうと思ったんだよ。


 さていっちょやるか、ってとりあえず始めたのがオナ禁だ。


 成功者によると、肌の調子がよくなるとか集中力が格段に増すとかいいことがいっぱいあるらしい。

 邪念を振り払えればより純粋に小月さんと話せて、好感度も上がるに違いない、ってな。


 あともう一つ。そのまま夢精まで辿り着くと、好きな人とえっちなことをするめっちゃ素敵でリアルな夢が見られるって噂があってだな。


 まあさすがにそう都合のいい話もないと思うけどほら、気になるじゃん? とりあえずチャレンジしてみようと思ったのさ。


 やってみるとなかなか難しい。

 始めて2、3日目あたりが一番きつい。


 2回失敗して3回目。今度はどうにかこの時期を乗り越えるとわりと楽になる。『千穂ちゃん』は相変わらず朝は元気だし意味も分からない場面で元気になったりもするけど。


 煩悩を振り払えたせいか、小月さんともスムーズにお話しができている気がする。嬉しい。うん、やっぱり小月さんおっぱい大きいな。


 振り払えてない? まあそうかもな。というか小月さん好きすぎて、いまや俺も立派なおっぱい星人となってしまったのかもしれない。このへんは卵が先か鶏が先かって話だ。たいしたことじゃない。

 

 で、だ。

 

 オナ禁が軌道にのってしばらくして、この事態が訪れたわけだ。


 梅雨の合間、よく晴れた月曜日。


 寝るときはタイマーでクーラー消すからな。朝はちょっと暑くて、布団ははだけている。朝といえば無駄に『千穂ちゃん』が元気な時間だ。だが微妙にその感覚がおかしい。

 素敵な夢は見たのかどうかも覚えてない。それどころじゃない。


 俺の『千穂ちゃん』はそこにはいなかった。


 朝目が覚めたら、女子高生、つまり本物の小月千穂さんが勃ってた。

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