モラトリアム

アクアリウムの 羊水の泡

浮草のように わたしは漂う


透き通った 硝子の筒は

白の光を 揺り返し

手を仰ぎふり ただよう草の

おそれと夢と 閉じ守り


鍵はない わたしの手に

砕く術とは 誰が置いたか

門戸は開け はるか海への

ゆりかごは眠れ 子どもの夢に


壊さぬままに 捨てぬまま


欠片を抱き 糸と飛ぶ

これよりは 柔いアクアリウムの外

寒さに削れる しおのうみ

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