昔を思い出す時

トラウマが 記憶の殻を破って噴き出すとき

思い出は青白い手になる


氷水に浸したよりも寒い手が

無遠慮に背骨をなぞる

せり上がって頸椎に至ると

手は枯れた指をしっとり開いて

私の首を締めに来る

小指が付け根を 鎖骨を 抑え

中指は薬指をともに 血を止める


血は巡らない 巡れない


白くなる頭を抱くように

人差し指と親指は

私の首の骨を捕える


木の実を潰していくように

関節は暴れて泡になる


ああ お前

最後の灯りを折ったお前

お前が戸口に立つために

何時まで経っても 私は外へ出られないのだ

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