真悪役令嬢

その悲劇は、王城での学園の卒業パーティを兼ねた舞踏会で起こった。

「公爵令嬢ブランカ、男爵家令嬢ガーネットに対する数々の仕打ち、もう我慢がならぬ、今を持って婚約を破棄し、一族郎党すべて国外追放の刑に処す!」


「王子、ご下命承りました。それでは最後に一言だけ言わせてください。」


「なんだ?言ってみよ」


「革命の時は来た!今こそ我らの悲願 王権奪還の時だ!! 者共かかれ!!」


公女が叫んだと共に柱の影から完全武装の騎士が多数現れ、王と王妃と

王子その取り巻きとその家族を除くものはすべてその場から離れ、公女の前に跪く。


「旧オルカ王国の皆の者、今までよく耐えてくれた。そして新たに我が王国へ忠義を誓ってくれた者、私は嬉しく思う。今日この時よりオルカ王国の復活だ!!」

王子は呆然としつつ元公女に言う


「一体何が・・・」


「私から説明しましょう。」

なぜか元公女の後ろに並び頭を垂れている男爵令嬢が言う。


「なぜお前がそちらに?お前はブランカにいじめられていたのではないか?」


「まだ理解できていないのですね。元王はどう言うことかお分かりですよね?」


完全武装の騎士に捕まり取り巻きとその家族と一緒にロープで縛られ

元王は玉座から降ろされていた。


「ああ、わかっているとも、すべてこのためだったのだな」


「父よどう言うことなのですか?」


「お前にはまだこの国の真の成り立ちを説明していなかったな」


「真の成り立ちですか?昔あった悪逆非道の王国を打ち倒し建国されたのが

我が王国ですよね?」


王は首を振りながらいう

「それはまったくのデタラメだ。この国はたまたま老衰で死にかけていた

龍を倒した一人の魔法使いから始まったものだ。」


「魔法使い?」


「そう魔法使いだ、その魔法使いはたまたま倒した龍の力を得てオルカ王国の王族を皆殺しにし公爵家に関しては統治のために残し一つの魔法契約を結んだ。」


「魔法契約ですと?」


「そうだ、その契約は お前たちの一族が不要になるまで我と我の一族に遣えよ と言うものだ。」


「それでは我が一族がまるで物語に出てくる魔王ではないですか!!」


王は笑いながら言う。

「そうだな、まるで魔王のようなものだな、そしていまお前が、公爵家を追放すると言ったことでその契約は無効となった。」


「え?」


「え、ではない。公爵家一族全てを追放すると言うことをお前が言ったために、

契約は切れたのだ。」


「ご説明、ありがとう元王様。そう我らが一族は不当にも奪われた王権を

取り戻したのだ!!

頭の悪いお前のために教えてやろう。ガーネットは我が一族の者で、

この時我が一族を追放させるために送り込んだのだ!! 

辛い役目をさせてすまぬガーネット」


「いえ、我が一族の悲願のためであれば、あの元王子のような汚物に汚されることさえいといません。」


王子は混乱した。

「汚物?」


「そうだこのゴミめ!! まあ我が一族にとっては都合がいい存在ではあったが、

ここまでのバカとは思わなかった。予定では陛下が追放され解放されるだけだった

のだが、それがもっともありえない全一族の解放とはなぁ。 ハハハハハ」


「解放?どういうことだ!!」


「先ほど元王が言っておっただろう、我が一族はお前らに直接逆らう行動はできず、反乱でも起こそうとすれば死ぬ呪いがかかっておったのだ。この王権奪還のため

我が一族は私を除き全て死ぬつもりだったのがなぁ」


「もしかして、俺が間違えた!?」


「いや最後の最後に正解を引いたのだ、さあ本来ならお前ら全て、つま先からミンチ

にして生きていることを後悔させてやろうと思ったが気が変わった。

ガーネットよ慈悲をくれてやれ」


元公女はそう言ってガーネットに一本の剣を渡す。

「はい王女、積年の恨みを晴らす機会を与えてくれてありがとうございます。それでは元王子さようなら」


「まてガーネット、お前を余を愛していたのではないか?」


「ありえません どれだけ気持ち悪いのを我慢していたのか、さあ首を

出してください、そして死ね!」


「まてガーネット、余は余は、」

元王子の首は落ちた。


元王は顔を背け王妃は悲観にくれる。

「お前たちには慈悲なぞくれぬ、この世にある地獄を体験するがよい ハハハハハ」



そしてオルカ王国は復活した。

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