美味しいお茶の煎れ方

Jua

第1話GO TO 武蔵野

すみませんすみません

今日もずっと謝りっぱなし。


自分は特別な人間な気がしていた20代。

そんなことは全くないと全否定の30代に突入。

クリエイティブな仕事にあこがれて転職を繰り返したけれど

結局何も続かず芽も出ずだった。

今はアパレル雑貨やアクセサリーのデザイン会社のアシスタントとして

契約社員で働いている。

アシスタントなんて聞こえはいいけれど雑用係だ。


人間関係は決して悪くはない。

頑固で優秀な社長にのんびりとした先輩。

厳しいけれど面倒見がいい先輩。


給与が安いこと以外は、特に不満もなく居心地のいい会社だと思ってる。


だけど春くらいから、

なんだか漠然とこう

モチベーションが上がらない。

嫌なこともないけれど良いこともなく

毎日起きて働いて帰って寝て。

そのルーティンをぐるぐる続けているだけ。

仕事帰りに公園で缶ビール片手にぼんやりしてみる。

特に何も感じない。

何でだろう

昔は毎日が物語だった。

なんでもワクワクしたし

自分に可能性ばかり感じていたし。

めちゃくちゃ自信満々だった。

30代ってこんなに諦めるものなの?

大人ってこういうもんなのかな?

なんてことを最近毎日ぼんやりと考えながら淡々と

毎日を過ごしていた。


昼休み電話が鳴った。

結婚して神奈川に引っ越した姉からだった。


「もしもしひさしぶり。げんき?」

なんだかちょっと構えてしまう。


「あんたこそ元気なの?全然連絡もないし。

仕事してるん?」


うんうんと世間話を5分ほどした。


「ほんでな、ほら東京のばあちゃん。いよいよ入院してな~。

家帰っても一人でしょ?施設入れるかってお父ちゃんたち言うてるんよ。

うちも見る余裕ないし。チビもまだまだ手がかかるし。あんた

お見舞いにでも行ってあげてよ。ついでにうちにも寄ってよ。

飛行機安いのあるやろ?休みにでもさ。ばあちゃん世話になったやろ??」



東京のばあちゃん。。


昔、両親が別居して母が出ていってしまい

私と姉と弟は、東京の祖父母宅にしばらく預けられた。

姉は受験があり、弟もママっこだったため、母がすぐに迎えに来た。

しかし私は一人、祖父母宅に居たいといって帰らなかったことがある。

それからしばらく祖父母と三人で暮らした。

それは東京武蔵野での日々。

30数年分の何か月かの日々だけれど

私にとってはきっと人生ですごく大切な時間だったに違いない。


その、ばあちゃんが入院した。


祖父は3年前に他界して以来

ばあちゃんは一人暮らしだった。

元気がないとは分かっていたけれどあいにもいかずだった。


有給がのこっているので休みを取ることにした。

格安の飛行機を片道だけとにかく買って出発。


祖父の葬儀以来

3年ぶりの武蔵野へ

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