第5話 エピローグ

秋人あきひと調子ちょうしはどう? おちゃれたから、すこ休憩きゅうけいしない?」

「ああ、ありがとう。区切くぎりがついたらすぐくよ」


 あれから、5年ごねんぎ、おれ美冬みふゆ夫婦ふうふになっていた。

 くとたおれていた部屋へやなかはじめてたはずの光景こうけいだったのに、いままでそこでらしてきたかのように、すべてのことが把握はあくできていた。

 おれ狙撃そげき暗殺あんさつ知識ちしき能力のうりょく魔法まほう使つかうチカラをうしなっていたわりに、将棋しょうぎ駒作こまづくりのスキルがそなわっていた。

 そしておな部屋へやたおれていた美冬みふゆ同様どうよう

 どうやら、同棲どうせいという関係かんけいらしていたようで、自然しぜん結婚けっこんというふうにいた。

 美冬みふゆは、小説しょうせつくスキルがあたえられたらしく、カコヨモで小説しょうせついて、それなりの支持しじているようだ。

 あの魔女まじょとも交流こうりゅうがあるらしく、その魔女まじょたいする小説しょうせつ評価ひょうかは『下手へただけれどあじがある。でも万人受ばんにんうけは絶対ぜったいしない』らしい。

 ころった者同士ものどうしがなんで? とおもうが、ころそうとしたのはこちらがわだけで、こうは子猫こねこがじゃれてきた程度ていどにしかおもってないのかもしれない。

 近所きんじょには、その魔女まじょ暗殺あんさつってかえらぬひととなっていた組織そしき人間にんげん何人なんにんんでいて、何事なにごともなく普通ふつうらしている。

 そしておれたちのあとからも元組織もとそしき人間にんげんがやってきたから、相変あいかわらず組織そしき幹部かんぶ連中れんちゅう魔女まじょ殺害さつがいしようと目論もくろんでいるらしい。

 ちなみに、100ひゃくメガトンの水爆すいばく投下とうか作戦さくせん計画けいかくされたが、作戦さくせん前日ぜんじつ爆撃機ばくげきき原寸大げんすんだい巨大きょだい紙飛行機かみひこうきに、また爆弾ばくだんはコウテイペンギン13羽じゅうさんわ姿すがたえていたのだとか🐧

 『1羽いちわでもなせたらきみたちの組織そしきをぶっつぶすよ』

 という脅迫状きょうはくじょう(?)があったので、組織そしきはペンギンの世話せわおおわらわだという。


 おれころそうとした魔女まじょがどれだけすご能力のうりょくっているのかは、はかれない。

 おれ暗殺あんさつスキルが駒作こまづくりスキルにわっていたり、らないはずの生活せいかつまよいなくはいっていけたり。

 重力じゅうりょくベースの魔法まほうらしいが、重力じゅうりょくをどうあやつったら、このようなことになるのか不明ふめいである。


秋人あきひと、やっとりてきた♡」

わるわるい」

「おやつはたいきよ」

「なあ、おれたちって、こんなにしあわせでいのかなあ?」

 おれ質問しつもん美冬みふゆは、玉響たまゆらきょとんとした表情ひょうじょうせる。

秋人あきひと自分じぶんなにわるいことした記憶きおくのこってるの?」

「いや、暗殺あんさつスキルをっていたのは間違まちがいないが、それを活用かつようした記憶きおく一切いっさいない……」

「それなら、過去かこわすれてきていんじゃないかな? わたしたちがころされていないのは、そういうことでしょう?」

 そうかもしれない。

 たいきにかじりつく。

「あ、しっぽから。たいきはあたまからべるものよ?」

「あ、わるい」

いよ、ゆるしてあげる♡」

 ん、なんでたいきしっぽからべたからっておこられてるんだ?

 だが、美冬みふゆわらっているかおていると、おかしくなって自分じぶんでもわらってしまった。


 おしまい

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