雪を溶く熱――グラビティ・ファイア・ブリザード――

魔女っ子★ゆきちゃん

第1話 プロローグ

 それはたこともないような光景こうけいだった。

 豪雪地帯ごうせつちたいまれそだったおれたちは、猛吹雪もうふぶきにも何度なんどとなく遭遇そうぐうしている。

 しかし、それはおれたちのっている猛吹雪もうふぶきなどとは一線いっせんかくする異質いしつ不自然ふしぜん現象げんしょうだった。

 ゆきがある一点いってんへとかってり、ながれ、んでいく。そしてそれは早々そうそうえる速度そくどえた。


 はじめに異変いへん気付きづいたのは美冬みふゆだった。

 もるゆきうごきがへんだとうのだ。

 その異変いへんはたちまち、見間違みまちがいやのせいなどではないことがはっきりとした。

 魔法まほうによるブリザードけい呪文じゅもんですら、かんがえられないような範囲はんい挙動きょどう


 ゆきおれたちの身体からだや、美冬みふゆ住居じゅうきょ樹木等じゅもくなど障害物しょうがいぶつけつつも、おれたちのちかくのある一点いってんへとかってんでくる。

 おれたちにはっきりとつたわるようなねつ放出ほうしゅつしながら。

 おれはそれによって確信かくしんした。


 ――暗殺あんさつ失敗しっぱいしていたのだと――


 つづく

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