02



 生まれてからずっと、私の周りにはたくさんの人がいた。


 気の良いおばあちゃんに、厳格なおじいちゃん。


 しっかりもののお姉ちゃんと、やんちゃなお兄ちゃん。


 優しいお母さんと、無口なお父さん。


 後は、お喋りなお隣のおばさんに、おっちょこちょいのお隣のおじさんとかも。


 たくさんの人が私の事を気にかけてくれた。


 生まれてすぐ、熱を出した時はつきっきりで看病してくれた。病院までつれていってくれたり、体に良い食べ物をかってくれたり。


 五歳くらいになって初めてお使いするときは、近所中の人が見守っていたっけ。


 十歳くらいになると、勉強で分からない事がでてきたから、たくさんの人に聞き回った。


 十五歳くらいになったら、将来の事で悩むようになった。


 人生の先輩達に、有意義なお話をきかせてもらったっけ。


 そんな私は、もうすぐ二十歳になる。


 こんな別嬪さんになって、そろそろお婿さん見つけないとね。


 なんて、みんなから言われてる。


 成人式の日には大勢の人が、かけつけてきてくれた。


 私はとっても幸せだ。


 世界中で一番の幸せ者。


 だって。


 だって……。


「これでもう思い残す事はないね」

「これでわし等の役目は終わったな」


 そんな事言わないで。おばあちゃん、おじいちゃん。


「立派になったわね」

「もう、俺達がいなくても大丈夫だ」


 まだ、妹でいたいよお姉ちゃん、お兄ちゃん。


「しっかり頑張るのよ」

「これからは何でも一人でこなせるようになるんだぞ」


 お母さん、お父さん。


「大丈夫よ、〇〇ちゃんなら、おばちゃんが保証するわ」

「頑張れ、大丈夫だ」


 おばさん、おじさん。


 皆の姿が透けている。

 こんな姿になってまで私を見守ってくれてたんだから。


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