「細い鍵」20:44
私がこの鍵を託されてから、はや三年の月日が経った。博士の言いつけ通り、いつかここへ訪れる『白い本を持つ人物』が来るまで、私はこの鍵を守り続けなければならなかった。
博士はこれを鍵だというが、どう見ても細くて平たい金属棒で、私はこれが本当に鍵であるのか、不可思議に思いながら眺め透かし、睨み付けていた。穴が開いているわけでもなく、色は銀、ぐにゃりと曲がるわけでもない。
しかし今日、とうとう『白い本を持つ人物』が私のところにやってきた。博士の言いつけ通り、私はこの金属の棒を差し出した。
「有難う。待たせたね」
金属の棒が、私の頭部から差し込まれ、私の奥底へと落ちていく。
「……博士?」
「ただいま、プロメテウス」
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