傀儡呪術師が物の怪を退治する。

謳歌

第1話 傀儡呪術師

 古城傀儡(くぐつ)は、傀儡(かいらい)呪術師の末裔である。とはいっても特殊能力が使えるわけではあるまいし、ましてや人を呪い殺そうと思ったこともない。虫も殺せないような人がなぜこんな目に合っているのかわからなかった。

 広い和室の間に偉い人たちっぽい人が着物を着て、傀儡のことを見つめている。傀儡は正座をし肩身狭い思いをしていた。母親は絶対に入ってこないし、あるのはお茶のみ、祖父の古城海風は見た目は若い、どれくらい若いかというと初老と言われてもおかしくはないくらいだった。

 そして、海風の後ろには大量の傀儡があった。人、動物、人形、などなど。

 傀儡は自分の名前を呪った。親につけられて、周りからは変な名前と言われたりするし、そもそも、なんでこんな名前なんだよと思った。

 海風の口がゆっくりと開く。

「今、全員に集まってもらったのはほかでもない」

 ここにいる人たちは全員傀儡呪術師の人たちであり、親戚の人たちだが傀儡にとってはこれが初めての面会になる。

「こいつに、傀儡呪術師になってもらう」

「……はい?」

 素っ頓狂な声が出た。なんの事情も説明されずに、いきなり傀儡呪術師になってもらうといわれ、はいそうですかーといくわけがない。

「待てよ!じいちゃん!!傀儡呪術師ってなんだよ!?」

「真矢から聞いていないのか。傀儡呪術師はその名の通り、傀儡を操り人々を殺すことだ」

「いやいやいや!それはさすがにアウトだろ!?」

「アウトもセーフもあるか。本来なら女性なのだが、女性なんていないからな。真矢はもう年齢が年齢だから引退したし、お前しかおらぬのだよ」

 叫びたがったが、叫ぶ元気もなかった。

 そして、教えてもらったが、傀儡呪術師は昔から、人々を呪い殺したり、なんなりしていることだと。

 だから、傀儡は絶望した。

「さよなら、俺の現実よ……」

 ここから、始まる傀儡の修行が。

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傀儡呪術師が物の怪を退治する。 謳歌 @hanasizuki1208

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