Nemesisscode 短編
@SUM82a1
第1話 この想い
またあの時の夢だ。
両親と楽しく夕食の準備をしている途中、いきなり爆発が起こり今まで当たり前だった日常が全て消えた。
暗い瓦礫の中泣いている私。
寒い、痛い、怖い。
瓦礫が音を立てて崩れようとしていた。
もう駄目だと思った。しかし光と共に声が届いた。
「もう大丈夫だ!絶対に助け出す!もう直ぐだ!」
私のヒーローの声。安心する暖かい声。
そして目が覚める。
朝から暖かい気持ちになる。
私がこの気持ちを自覚するようになったのはここ最近からだ。イヅナ電子の灰田ちゃんと言う同じオペレーター友達と一緒にスイーツを食べていた時。
「結月ちゃんって好きな人いるのー?」
そんな質問を投げかけられた。
「いないかなぁ...」
「じゃあ、何時も目で追い掛けてるあの人は?」
そう言われて真っ先にSU隊長の顔が思い浮かんだ。
「そ、そんな事ないよ!あの人は私の恩人だし!」
「そんな顔真っ赤にして否定しても説得力無いぞー」
悪戯っぽく言う。
「あぅ...。でも私なんかじゃ...」
「じゃあ、あの人私が狙っても大丈夫だよね!」
「それは駄目!!」
私自身でもビックリする位の声が出た。
「ごめんね、冗談だよ。でもやっぱり好きなんじゃない!しっかり自覚出来たら次はしっかりアピールしてかなきゃね!あ!定員さーん!このパフェとプリンお代わりー!」
「まだ食べるの!?」
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あの後私はずっと考えてた。
あの暗い瓦礫の中で私を助けてくれた人。
最初は感謝を伝えようと追い掛けていた、けれども段々あの人に近づいていくたびに想いが変わって、強くなって行く。
最近は次いつ会えるか楽しみになっている。
他の女性と話している所を見ると黒い何かが心の中で浮かぶ。多分これが嫉妬だ。
あぁ、やっぱり私はあの人が好きなんだ。
欠けていたパズルのピースがはまるようにすんなりと納得出来た。
「アピールかぁ...」
灰田ちゃんに言われた事を思い出す。
何をすれば良いんだろう。
そう考えながら歩いていると前の方にSU隊長が歩いているのが見えた。
心臓が跳ね上がる様な感覚がして物陰に隠れてしまった。
影から様子を伺うとどうやら非番で買い物に来てる様だった。
少し呼吸を整えて身嗜みを確認する。今日はお出掛け用の服で良かった。
物陰から出てあの人に近づいて行く。
「あ!SU隊長!おはよう御座います!」
この想いは誰にも譲れない
絶対に譲るもんですか
覚悟しておいて下さいね
私のヒーロー
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