Side Story〈Yuuki〉episodeXVII
本話は、本編64話+の話になります。
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「ごめんね~~。明日朝からくもんと会うからさ~~、あたしはお先に失礼するね~~」
「うん、楽しかった。気を付けて帰ってね」
「ジャックはいい相手がいていいなー!」
「くもんさんとどこ行くの~?」
「あ、リアルじゃないよ? LA内だよ~~?」
「そっちかい!」
居酒屋を出てすぐ、ジャックさんがお先に、と言いましたけど、むむ、皆さんは解散ではない、のですかね?
「あ、そだそだ〜、帰る前にTalk交換しよ〜」
「おおっ、あぶね! そーじゃん忘れるとこだったわー」
「おっけ〜〜」
「ゆっきーもね?」
「あ……はい」
「ほら、ゼロやんもスマホだして〜」
「わーってるって」
そして、ジャックさんとお別れする寸前、はっと思い出したようにゆめさんから連絡先の交換を持ちかけられたので、私たちはみんなでスマホを出し合って連絡先を交換し合います。
こんな大人数と交換するって新鮮ですね。
えーっと、Shizu……がジャックさんですよね。それ以外皆さん本名登録みたいですし。
ピアノを弾く後ろ姿の写真をアイコンにされた
可愛い猫ちゃんの写真をアイコンにしているのが、
ちなみにジャックさんのアイコンはLAにおける獣人族みたいですけど……。
「ジャックのアイコン誰〜?」
「あ、それがくもんだよ〜〜」
「そうなんですね」
「あ、じゃあくもんさんのアイコンは、ジャックだったり?」
「いや〜〜お恥ずかしながらね〜〜」
「いいね〜仲良しだ〜」
「さすが出会いがLAね」
「それに比べてゼロやんはただのオタクだなー」
「い、いいだろ別にっ」
なるほど、こちらの方がくもんさん……ワイルドですね……って、あ、本人は当然違いますよね。
ゲーム内の姿と現実は一致しない、それは自分の身をもっても証明してますし。
そしてぴょんさんに茶化された
たぶん、LAの中の装備の画像のような、そんな気がします。なんだろ?
とはいえ、よく考えれば、プライベートでお会いした男性の連絡先って、これが初めて、ですね……。
アルバイト先で塾長に連絡先は教えましたが、あれはお仕事ですし……。
そうか、ゼロさんが初めての人、というわけですね。
もちろんゼロさんにとっては初めてなわけはなく、既に私より先にだいさん、ぴょんさん、ゆめさんは連絡先交換してらっしゃるでしょうし、昔ならセシルさんとも連絡先交換はしてるはず。
……こればかりはしょうがありませんね。
って、あれ? 何がしょうがないんでしょう? むむ……?
「じゃ、またLAでね〜〜」
「おうっ、またな!」
「ばいば〜い」
「楽しかったよ、またね」
「またLAで!」
「あっ、ありがとうございました」
私が皆さんのアイコンを確認したり、少し胸の内で考え事をしている間にジャックさんが手を振りながら駅方面に向かい始めたので、私も皆さんのお別れの声に続けて、ジャックさんにお別れをしました。
危ない……あやうく礼を失するところでした。そんなことしたら、お父さんに怒られてしまいますからね。
さて、このあとはどうするんだろう?
もうけっこう遅い時間ではありますけど……。
「じゃあ名残惜しいけどお開きに――」
「は?」
「え?」
「おいおい、わざわざ金曜にした意味考えろよ!」
「え、明日休みだから、だろ?」
「明日休みだからだろ!」
今日はここまで、そんなことを言いかけたゼロさんに制止をかけるぴょんさんが。
金曜の意味、明日休み……あ、なるほど。夜更かししようという事ですか。
となると、これは23時くらいまで一緒にいられる、のかな?
でも、その考えに至っていなかったのか、ゼロさんは唖然とした表情を浮かべています。
そんなゼロさんの腕を取るゆめさん。
あ、なんか向こうにいる露出多めな女性と腕を組むおじさまと同じ構図ですね。
とはいえ向こうはなんだか不健全な雰囲気を感じますが、こちらは健全……なのかな?
とりあえずゆめさんが楽しそうなので、いいんだと思います。
そんなゼロさんとゆめさんに対し、周辺を通る方々からも視線が。
今通った酔っていたであろうサラリーマンさんは「にいちゃん見せつけてんじゃねえぞっ」って言ってましたけど、ゼロさんが何を見せてるのでしょうか?
うーん、新宿って不思議なところですね……。
「カラオケ、予約しているでありま~す」
そしてゼロさんの腕を抱いたまま、ゆめさんが元気よく私たちに次の行程を示してくれました。
「ナイスだぞゆめメンバー!」
その言葉に盛り上がるぴょんさん。
ゆめさんとぴょんさんは、本当にテンションが高く、楽しそうで見ているこちらも楽しくなりますね。
「おお、私カラオケ久しぶりです」
そんなテンションにつられ、もうずっと行った記憶のないカラオケが楽しみになってきました。
ゆずちゃんは遅くなっても平気って言ってましたし、たまにはまだ遊んでも、大丈夫ですよね。
「ゼロやんは強制だよ~」
「ってことは、だいも行くよな?」
「べ、別にゼロやん関係なく行くわよ!」
「よし、じゃあ行くぞー!」
そしてゼロさんもだいさんもカラオケまで参加する方向に。
でもなんで、ゼロさんが行くならだいさんも、なんてぴょんさんが聞くのでしょう?
争奪戦って、ライバル……ではないのかな?
あ、でもそうか。
私自身他の皆さんにライバル心があるかと言えばないですし。
うん、ここはカラオケはカラオケとして楽しみましょう。
そして移動を開始するや、ぴょんさんもゼロさんの腕を取りました。
両サイドから女性に抱きつかれるような形になるゼロさんに、周囲の人たちも不思議そうな目線やちょっと怖い目線を送っているようですが、最早ゼロさんは抵抗もしてませんし、受け入れてるご様子です。
そしてその後ろを、だいさんと二人で歩きます。
「ほんと、愉快な二人よね」
「そうですね。でも、楽しそうです」
「そうね、あの二人はいつも楽しそう」
だいさんはぴょんさんやゆめさんと違い、落ち着いた雰囲気で話していて少しホッとしますが、前を歩く三人を眺める目線は、なんだか羨ましそうでした。
はっ、もしや……?
「え?」
「これで一緒ですよ?」
「あ……ふふ、そうね、同じだね」
あれ?
何が面白いのですか?
むむ。
前を歩く三人を眺めるだいさんが、羨ましそうな表情だったので、だいさんも腕を組みたいのかなと思ったのですけれど……。
「ゆっきーは面白いね」
私の腕を振り払うでもなく、優しげな笑みを向けてくれただいさんは、思わず見惚れてしまうほど綺麗でしたが……むむ、思った反応と違いますね……。
「でも、誰かさんと同じくらい鈍感かも」
「むむ? 私のことですか?」
「それは……直接言ったら可哀想じゃない?」
「むむむむ?」
腕を組んだまま歩いていると、何やらだいさんからよくわからないことを言われましたが……鈍感?
誰かさんと同じ?
よく分かりませんね……。
「だいさんは、鈍感ではないんですか?」
「んー、どうかしらね。少なくともあの人よりは鈍感じゃないとは思ってるけど」
「あの人?」
そう言うだいさんの視線の先には、両サイドに女性がいるゼロさん。
え、でもゼロさんは元恋愛マスターですし、鈍感なわけが……?
「あの人も、面白い人よね」
「むむ……よくわかりません……」
「うん、わからなくていいのよ」
「分からなくていい?」
世の中に分からなくていいことがある、と?
いえ、そんなはずは。
疑問は解消した方がスッキリしますし、新たな知識が世界を開かせてくれるはず。
なのに、だいさんはなぜ分からなくていいなんて仰るのでしょう?
「よく分かりません……」
「見てるだけでもいいんだ。そばに居れることが、嬉しいから」
「ええと……それは……?」
だいさんが争奪戦に参加しているなら、さすがにそれはゼロさんのことですよね?
となると、鈍感はゼロさんで、面白い人も、ゼロさん、ですか?
そんなゼロさんを見つめるだいさんの表情は……ふむ。
「ゆめ、すごい歌上手いからびっくりするわよ?」
「それは楽しみです」
「うん、もう少し一緒に楽しみましょうね」
私がぼーっとだいさんのことを見ていると、不意に話を変えられましたが……さっきのだいさんの表情、いつか私も、出来るでしょうか?
今日出会ったばかりの美人な方と腕を組んだまま、目の前に同じく腕を組む三人を見つつ、夜の新宿を歩く私たち。
酔ったサラリーマンや、楽しそうな大学生や、すごく日焼けした背の高い男性、仕事終わりのOLさんなど、新宿にはたくさんの喧騒とともに、色々な人たちがいるみたいですけど。
今日出会えた方々ともう少しいられることに嬉しさを感じながら、私はしばしだいさんと腕を組んだまま、次の目的地を目指すのでした。
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以下
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ゆきむらのサイドですが、だいの一部も見れるお話となりました。
しかし、初めてスマホで長々と書いてみました。
書きづらい!!笑
やはりスマホは最後の校正くらいがいいですね……!
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