1 命をありがとう
「物語の管理者アトラです。点と線のリプライのガイド担当なのでよろしくお願いします。今回の物語は高校生で癌を患った
暖かい家庭に生まれた。言葉を喋れるようになると、両親に驚くほどに誉められた。親馬鹿だとは思ったけど、僕は幸せだったよ。背丈が大きくなり、青春を経験した。両親に反抗する時期もあった。今になって思う、親孝行したかったと。
「こんな僕でごめんなさい」
薬の副作用で艶のあった髪も抜け落ち。醜くなった自分の顔が嫌いだった。両親に何で僕なんかを生んだんだと罵詈雑言を浴びせる。僕はその度に胸が苦しくなった。言ってはいけない言葉だとわかってる。父さんは辛そうにごめんなごめんなと繰り返す。母さんは泣きながらごめんなさいっと繰り返していた。
「さあ、いきなり重い話だね。信字君、とっても重い病気患っているみたい。ここから、信字君の友人が登場するよ」
学校の教室で二人の少年が会話をしていた。
「北川、しばらく学校来てないよな?癌らしいけど、すぐに治るって言ってたよな?」
「見舞に行ったんだが、辛そうだった」
「そうなのか…なあ、俺達で何か出来ないかな?北川の為に」
「そうだな…北川のオジサンとオバサン、治療費払うために必死らしいし、募金とか?」
「それだ、北川に少しでも助けになれば。早速先生に頼みに行こうぜ」
「おう」
「八代君と雛寺君は廊下を走って先生に怒られたみたい。廊下を走っちゃ駄目だよー。ここからは信字君の両親のターンだけど、気合い入れて読んでね」
北川の両親は疲れ切っていた。治療費の為に夜遅くまで働いているからだ。
「神頼みもしたし、大きな病院にも行った。なのにあの子の病気は酷くなるばかり、どうしたらいいんだ」
「どうしようもないわよ」
「もって一週間、先生に自宅療養を勧められたよ。一週間、あの子に好きに生きさせよう」
「そうね…。あなた、今日、学校から連絡があって。あの子の友達が募金を募ってくれたそうです」
「そうか…」
夫妻はこれから、信字にどう接すればいいのか?何が出来るのか?わからなかった。
「子を持つ親の気持ちは難しいよね。八代君と雛寺君はとってもいい子だね。私もそんな友達がほしい。次は信字君のターンだよ」
自宅療養が決まり、久しぶりの我が家へ帰って来た。
「ただいま」
「お帰り、信字。やっと帰って来れたな。今日はご馳走だ、何が食べたい?」
「適当でいいよ、母さんの手料理は何でも美味しいし」
「そうか、そうだよな」
「父さん、母さん。ありがとう」
父さんも母さんもとても驚いていた。父さんは涙ぐみながら僕を抱き締めた。
「馬鹿野郎、伝えたかったことはたくさんあったけど。言葉が何も出てこない。頑張れ?違うだろ、もう十分に頑張った。諦めるな?それも違う、よくここまで頑張った。もう頑張らなくていいんだ。お前には幸せに生きてほしかった」
「父さん…」
それから幸せな時間が過ぎ、七日目。僕は静かに目を閉じた。
命をありがとう
それから、北川夫妻の元に病院から封筒が届いた。手紙の主は信字からだった。
「父さん、母さん、友達、知らない人からもたくさんの希望をもらったけど、生きられなくてごめんなさい。父さんと母さんがくれた信じる字、【信字】この名前に救われたよ。親不孝ものの僕でごめんなさい。わがままを一つ言っても大丈夫かな?僕が生まれ変わったら、また父さんと母さんの子供になりたいな。とっても幸せでした。ありがとう」
両親は泣き崩れ、もちろんだと繰り返していた。
「最後にアトラのターンだよ。信字君と両親の絆には感服しました。幸せになってほしかったな。点と線のリプライは今後、いろんな物語を語ることになるけど。多種多様な物語だから楽しめると思うよ。私は次の物語を探しに行くね。Thank You」
点と線のリプライ 七星北斗(化物) @sitiseihokuto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。点と線のリプライの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます