第247話 モニカ狼と幼馴染

 太い尻尾をずるずる引きずりながら実家に帰ったモニカ狼。


「おかえり!モニカちゃん」

「…パパ」

「会いたかったよモニカちゃん!」

 モニカを迎えたのはモニカたちを創造した神様だった。


「あれ?ルイス君は?」

 モニカ狼を抱きしめてモフる神様がきょろきょろと周りを見渡すがルイス狼がいない。


「ルイスは行ってしまったわ。カレンを1人に出来ないって…」

 モニカ狼がピスピス泣く。


「それはルール違反だねえ。それにモニカちゃんを1人にするなんて悪い子だな」

「怒らないでパパ」

 目に涙を溜めたモニカ狼がルイス狼をかばう。

「モニカちゃん…」

 モニカを溺愛する神様は、もう怒れない。というかルイス狼のことも溺愛しているので本気で怒れない神様だった。



 ひたひたと足音が響く。誰かが訪ねて来たようだ。


「久しぶりだなモニカ」

「…ヨル」

モニカの幼馴染でフェンリルのヨルだった。


「モニカが帰ってくると聞いてすぐに迎えに来た。鉄の森に活きのいい猪がいるんだ。一緒に狩りに行かないか?1番美味い部位はモニカにやる」


「ヒレが食べたいわ」

 悲しみを忘れて本能のまま脊髄反射で答えた。

「じゃあヒレは全部モニカのものだ」


モニカ狼の耳と尻尾がぐん!と上を向いた。


「パパ、私ちょっと狩りに行ってくるわ」



 ずっと泣いているより良いけど、ちょっと淋しい神様だった。

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