第204話 シモンさんとあっさりご飯

「今日はルイスに合わせて、あっさりしたご飯でいいかな」

「手伝いますよ」


 豆腐入り肉団子の甘酢あん、なすと豚バラのおろし炒め、肉豆腐、鶏団子の白菜スープにしよう。



 「肉団子の甘酢あんから作ろうか」


 木綿豆腐を水切りしている間に玉ねぎをみじん切りにする。ここで水切りしたお豆腐は肉豆腐でも使うよ。

 ウィルコとシモンさんがすごい量の玉ねぎをみじん切りにしてくれたから大量の肉団子が出来そう!


 ボウルに豚ひき肉、木綿豆腐、玉ねぎ、パン粉、塩こしょうを入れてよく混ぜたら丸める。

 フライパンで油を熱し、肉団子を転がしながら焼く。全体に焼き色がついたらフタをして蒸し焼きにする。豚肉だから完全に火が通るようじっくり焼くよ。

 水、砂糖、醤油、酢、ケチャップ、片栗粉を混ぜてフライパンに投入。手早く混ぜてとろみがついたら完成。



「これは出来立てを食べたいから食べる直前までアイテムボックスに入れておこう。次は鶏団子の白菜スープね、生姜を効かせよう」


 白菜は千切り、生姜、長ねぎはみじん切り、しいたけは軸を取り除いて薄切り。これもウィルコとシモンさんがたくさん切ってくれてありがたい。

 ボウルに鶏ひき肉、長ねぎ、生姜、塩胡椒、片栗粉を入れて粘り気が出るまで混ぜたらお団子に丸める。

 大きなお鍋に酒、醤油、鶏がらスープの素、水を入れて煮立ったらお団子を入れていく。灰汁ウィルコ取りながら煮こんだら白菜としいたけを加える。白菜がしんなりしたら完成。


「食べる前に温め直そうね。肉豆腐は牛肉で作ろう」

 あっさりだけど種類の違うお肉が揃ったらモニカが喜んでくれそう。


 水切りした豆腐は横半分に切ってから縦に4等分。長ネギは斜めにカット。牛肉は食べやすい大きさに切る。

 お鍋で牛肉を炒めて、色が変わったら長ねぎも加えて炒める。そこに豆腐と水、醤油、砂糖、酒、みりん、顆粒の和風だしを加えて煮る。


「これも食べる直前に温め直そうね。最後になすと豚バラのおろし炒めを作ろう」


 なすは斜め切り、ミョウガと大葉は千切り、大根はすりおろす。豚肉は食べやすい大きさに切って塩胡椒で下味をつける。

 フライパンで豚肉となすを焼く。両面に焼き色がつくまで焼いたら酒を加えてフタをして蒸し焼きにする。なすがトロッと柔らかくなったらお皿に盛り付ける。

 大根おろしにポン酢、めんつゆ、すりおろし生姜を加えて良く混ぜたものを全体に回しかけてミョウガと大葉の千切りを乗せて完成。


「スープと肉豆腐を温め直すね」

「ご飯も炊けたよ。今日は柔らかめに炊いてみたよ」


「モニカ、ルイスはご飯を食べられそう?」

「さっきから腹が減る匂いなんだぜ」

 小さなルイスが尻尾を降って可愛い。



「ルイスのお茶碗…ルイスはどんな食器がいいのかな」

「いつもの丼でいいぜ」

 振り返ると子供なルイスがいた。狼の耳と尻尾付きで私より小さい。たぶん4歳くらいの見た目だ。


「ルイスが可愛い!」

「カレンの方が可愛いぜ」


── きゅん…

 この萌え萌えなルックスで大人ぶるルイスは可愛い過ぎる。


「私たちは小さい頃は人型になっても耳と尻尾を隠せないのよ」

「大人になると隠せるの?」

「そうよ、見た目が人間の年齢で12歳くらいになると隠せるようになるわね」

「出すことも出来るの?」

「こんな感じ?」


 モニカに狼耳と尻尾が生えた。

美女にケモ耳!ふさふさ尻尾!


「モニカが可愛い〜!」

「そう?」

「ルイスとお揃いだし今日はそのままでいて?お願いモニカ」

「いいわよ」

やった!モニカが快諾してくれた。


「早く食おうぜ」

「はいはい、いただきますしましょうね」

「いただきまーす」


小さなルイスが丼でガツガツ食べる。

「美味い!」


「スープに生姜が効いていて美味しいですね、長ねぎも風邪に良いと言いますし体調を崩しているルイスに合ったメニューですね」

「シモンさんも手伝ってくれてありがとう」


「大根おろしと炊きたてご飯の組み合わせは美味しいね」

「ウィルコも好き?私も好きなんだ。秋に秋刀魚の塩焼きと大根おろしで食べるご飯も美味しいよね」



「肉団子も肉豆腐もスープも美味しいわ。なすもトロッとして豚肉に合うわね。お茶碗じゃなくて丼にしようかしら」

 モニカの食欲が進みすぎている。でも大丈夫、シモンさんが手伝ってくれたから!今日は絶対に完食出来ないから。



 小さなルイスもお腹いっぱい食べてくれた。これなら早めに回復しそう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る