第196話 ソニアさんとユセフさん

「ソニアさんとユセフさんの映像を出すよ」

 ウィルコがリビングのテレビに映してくれた。


「ここは行政都市デンハフ、ソニアさんの執務室だよ」

 ソニアさんとユセフさん、数人の官僚の方が映っている。会議中のようだ。



「ここデンハフの建設はひと段落し、技術者や労働者は無事にツクーバへ移動を終えました。来週には計画に従い、学園都市の建設が始まります」

「来月には商業都市のロッダムの建設も終わりますのでロッダムの技術者、労働者から希望者を募り街道の整備を進める件も順調です」

「計画通りね」

「商業都市のロッダムと国内の村々への街道が整備されたら、ますます商業が盛んになるな」

「ウィルコ神の御神託にあったとおり街道沿いに宿場町を建設します」


 宿の他に日本の交番のような警備関係の施設と医療機関の設置を推奨した。旅の途中のトラブルは多そうだから。

 旅の途中の急病でも半日以内に医療機関にたどり着けたらいいよね。国土がほどほどで良かった。


 街道はかなり幅を広くして車線も多めに取ることを推奨した。上りも下りも3車線。後から増やすのは困難だから最初に『必要なくね?』ってくらい多めに作った方が良いと思う。


「すべて順調ね、じゃあ今日の会議はここまで。何かあれば小さなことでも報告してね」


今日は都市計画の会議だったらしい。


「お昼だな!ホットドッグを食いに行こう」

「ユセフさんは飽きないのですか?」

「ほぼ毎日ホットドッグですよね?」

「ほぼ、じゃなくて毎日だ」

官僚たちの質問に堂々と答えるユセフさん。



 屋台ごとに工夫してデンハフの名物にするようウィルコがデンハフの商人や料理人に神託を下した。

 ソーセージの大きさや一緒に挟むものやトッピング、パンの種類で屋台ごとに差別化するようにと、ウィルコがのぞき見したアメリカのホットドッグ屋台のあれこれを商人たちに伝えた結果、シンプルで手頃な価格のホットドッグ屋台、トッピング多めのグルメドッグの屋台、飲み物やサイドメニューが豊富なセットメニューが売りの屋台などバラエティー豊かなホットドッグ屋台が揃った。



「さあて今日はどこの屋台にするかな」

ユセフさんがウッキウキで出かけていった。


「野菜不足だって言ってるのに…せめてサイドメニューでサラダを選んでくれるといいけど」

 ユセフさんの右腕のマスードさんが心配そうにユセフさんを見送った。

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