第176話 シャルキュトリ

 その後も比較的貧しい地域で甜菜の押し売りを続けて今日は結界でお休みの日だ。


「秋が楽しみだね!」

「うん。貧しい地域と豊かな地域の格差も解消できそうで良かったね」

 ウィルコが嬉しそうなので私たちも機嫌が良い。ルイス狼とモニカ狼の尻尾がご機嫌に揺れている。



「じゃあお祝いね!」

「いいな!姉ちゃん」

 気が早いにもほどがあるけど異論はない。

「じゃあウィルコが食べたいものでお祝いしようか」

「寒い時も暑い時も一緒に頑張ってくれたモニカとルイスが好きなお肉にしようよ。僕は本当に感謝しているんだよ」

ウィルコが可愛いく首を傾げる。


「ウィルコったら…」

「ウィルコ…」


 ウルウルしてるモニカ狼とルイス狼をウィルコがモフっている間に私は検索しようかね。うーん、もう冬じゃないから煮込み料理以外の美味しいお肉を食べたいよね。


 ポチポチっとシャルキュトリで検索した。

シャルキュトリcharcuterieとは食肉加工品全般の総称。chairは肉、cuiteは火を入れるでシャルキュトリ。つまりハム、ソーセージ、パテ、テリーヌのことだ。



「ちょっと高いシャルキュトリを取り寄せて贅沢しようか?」

 タブレットの検索結果を見せるとモニカととルイス狼の尻尾がさらに激しく振られる。



「ソーセージはボイルするのとグリルするのを両方。そのまま食べられる非加熱タイプのソーセージもあるね、全部買っちゃおうか」

「いいわね!」

「美味そうだな!」


「豚レバーペーストと鶏レバーのペーストも買おうか。このお店の豚レバーペーストは滑らかで癖が無くて美味しいんだって。鶏レバーのペーストは上品でクリーミーなんだって」

「カレンの世界のレバーは美味しいのよね」

「俺たちレバーって好きじゃ無かったのにな!」


「ポークリエットも買おうか、サンドイッチにしても美味しいよね」

「僕、サンドイッチにしたいな。シャキシャキの野菜と合うよね。野菜の在庫を確認してくるよ」

野菜はあるみたいだから買わなくて大丈夫そう。



「あとはテリーヌを何種類か。鴨肉とイチジクのテリーヌはモニカが好きそう」

「カレンのご飯を食べるようになってお肉とフルーツを合わせると美味しいって知ったわ」

モニカの尻尾がフッサフッサ揺れる。


「エゾ鹿肉のテリーヌ、鶏レバーとトリュフのテリーヌ。私は秋刀魚のリエットも食べたいな、キッシュも買おうか、スープはクラムチャウダーなんかどう?」

「いいな!キッシュもクラムチャウダーも俺の好物だ」


「ウィルコの好きなパンも買おうか、発酵バターのクロワッサン、パン・オ・フロマージュ、パン・サレ…これはいわゆる塩パンだね。あとはフォカッチャとチャバッタ、どれも焼き立てが届くみたい」


 モニカとルイスの好物も買ったし買い忘れはないかな。ウィルコ向けにパンも買ったし。注文ボタンをポチっと。


どすん!


 ダンボールが届いたのでウィルコと一緒にメリメリ開けるとシャルキュトリと焼き立てパンがいっぱい詰まっていた。全部をお皿に出してテーブルに並べる。


「豪華だね!ウィルコの世界の発展を願っていただこうか」


「テリーヌ美味しいわ!鴨肉とイチジクって合うわね」

「クラムチャウダーも美味いぞ、姉ちゃん」


 モニカとルイスはあれこれ食べてご機嫌だ。ウィルコはいろんなパンと組み合わせて楽しんでる。炭水化物が好きだもんね。

 私はどれからいこうかな… 鶏レバーのペーストにしよう…美味うまー!鶏レバーのペースト美味うまー!


「いくつかサンドイッチにしてみたよ」


 ウィルコが小さなサンドイッチを何種類も作ったのでいただく。これも美味うまあ!


「全部美味いな!」

「本当ね、ウィルコのサンドイッチも美味しいわ」



 お肉尽くしの夕飯は楽しくて美味しかった。明日からのメープルシロップの旅も楽しみだね。

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