第164話 サン・ポル島へ

「いい天気、行商日和ね」

「甘辛い味付けの肉料理に砂糖は欠かせないからな!」


 モニカとルイスがやる気です。甘辛い肉料理、大好きだもんね。


「じゃあ1番近い野生のサトウキビの群生地に転移するよ」

ウィルコの合図で王都からみて南西にあるサン・ポルという島に転移した。


 御者席にウィルコと私。ルイスとモニカはぎりぎりまで結界にいてもらって入村のタイミングで来てもらうことになった。


「ねえ、もしかして道の両側に生えているのはサトウキビ?」

「そうだよ。ここは野生のサトウキビが圧倒的に多いんだ」

「でもまったく利用されていないんだよね?」

「そうなんだ…この島に限らず国中どこででも邪魔者扱いなんだよ。刈っても刈っても勝手に生えてくるって言われてるんだ」


ウィルコが残念そうにサトウキビを見る。


「それは繁殖力が強くて世話入らずってことじゃない?たくさん砂糖が採れるようになるんじゃない」

「そうとも言えるかな」


ウィルコがちょこっと元気になった。分かりやすい。


「もう少しでサン・ポル村だよ」

 村の入口を守る門番が見えてきたので手を振ったら振り返してくれた。村の防衛的に大丈夫かな?


「モニカー、ルイスー、着いたよー」

荷台から降りると見せかけて結界から転移してきたルイスとモニカが荷台から出てくる。

私はウィルコが降ろしてくれた。


「こんにちは!」

「はい、こんにちは」

「家族?今日はどうしたの」

カレンが元気よく挨拶すると門番たちも愛想良く返してくれた。


「私たちは家族で行商をしているの」

「よかったら販売と仕入れをさせてもらえないか?」

「本土からの行商?」

「珍しいな!どんなものがあるんだい?」


「ハチミツとハニーワイン、このハチミツとトマトという栄養豊富な野菜で作ったケチャップという調味料を使った特性ソース、このソースで肉を焼くと美味い」


「北部のサラッとした肌触りのリネンで仕立てたお洋服は肌触りが気持ちいいわよ」


「道具類はトングという炭や食材を簡単に扱える便利な器具、ダッチオーブンという鍋、洗濯物をとめる洗濯バサミ。新しい道具類は使ってみると便利で驚くよ」


「いろいろあるんだな!」

「聞いたことないものもあるぞ」

門番さんたちの顔が期待に輝く。


 さっそく村長さんに紹介されて販売と仕入れの許可をもらい、村の広場で野営の準備を始めた。


「馬たちも頑張ってくれたわね、美味しいニンジンを用意しているのよ」

「ああ、まずは馬の世話だよな!」

モニカとルイスが張り切って馬たちの世話をする。



 モニカとルイスが大好きな馬刺しの原料が馬だということは黙っておこうと思った。

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