第159話 スモークチキン

 ピーテル村を含む北部の行商を終えて王都に戻ってきた。明日以降は当分の間は王都で見守り業務と春以降のタスクの整理をする。


「帰ってきたわねえ」

「しばらくは王都だね」

「もう夕方だし腹が減ってきた」

「そうだね、夕飯の支度をしようか」


「今日はチキンを食べたいわ」

「ローストチキンにする?」

「まだ食べたことない料理がいいわ!」


 食べごたえを期待されているのは間違いないし…どうしようかな…そうだ!


「スモークチキンは?」

「スモークチキン?」

「普通の中華鍋で作る燻製だよ。燻製といっても保存しないで、すぐ食べるために香り付けするだけならキッチンのコンロで簡単にできるから」

「いいわね!」

「肉の燻製は久しぶりだな」

 モニカとルイスがノリノリだしウィルコも肯いているから決まりだね!


「じゃあスモークチキンを作ろうね、それだけじゃ足りないと思うからチキン南蛮も作ろうか」

「いいわね!」

「最高の組み合わせじゃないか!」

ルイスとモニカが天才の発想だとかなんとか言ってるが大袈裟だよ。



 フォークで穴を空けたお肉に醤油、酒、蜂蜜、塩、おろししょうが、おろしにんにくのタレで焼く。茹でるやり方の方が一般的らしいが、お湯を沸かすのが面倒なので焼く。電子レンジでチンするやり方もあるらしい。

 焼けたらキッチンペーパーで表面を拭いて表面を乾かす。


 中華鍋にアルミホイルを敷いて、その上にほうじ茶の葉っぱ。鍋の途中で止まる大きさの金網をセットしてお肉を置く。

 点火して茶葉から煙が出て来たらフタをして弱火でスモーク。お肉が飴色になったらスモークチキンの出来あがり。


「チキン南蛮とサラダとお味噌汁も出来たよ」

ウィルコが有能すぎる。


「ご飯にしよう!」


 テーブルに移って料理を並べる。毎度のことだがメインが2つで贅沢だ。


「スモークの香りがいいわね」

「気に入った?」

「ええ、美味しいわ」

「野菜やクリームチーズなんかを一緒にパンに挟んでも美味しいよ」


「チーズは合うな!」

「たくさん作ったから余りそうだし明日の朝ごはんに作る?」

「そうしよう」


「ウィルコのチキン南蛮も美味しいわ!」

「いつ食べても何度食べても美味いな!」

「そう?ありがとう」



 みんなのお陰で真冬の北部回りを終えることが出来た。美味しいご飯で締めくくれてよかった。

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