第144話 すき焼き忘年会 後半

「そろそろ来るかしら?」

早く食べたいモニカ狼とルイス狼がウロウロしはじめた。


「ご招待をありがとう!」

「テラ様、いらっしゃい!」

久しぶりに会うテラ様…好き。


「お邪魔します」

「待っていたぞシモン、早く食おう!」

待ちきれなかったルイス狼が人型になる。



「じゃあ始めようか、前菜を食べていてね」


 思惑通りルイスとモニカが野菜の小鉢を疑問に思うことなく食べている。この作戦は使える!しょっちゅう使ったら効力が無くなりそうだから、野菜を食べて欲しい時の必殺技にしよう。


 さて、すき焼きを作ろう。

普通のすき焼きのお鍋で牛脂をを溶かしたら長ねぎを入れて軽く焼き色を付けてから取り出す。


「みんな前菜を食べ終わった?次はお肉を焼いていくね。さっと焼いたら割り下を少し加えるから、まずそのままでお肉を食べてみてね」

ルイスとモニカの目が光った。

「姉ちゃん、卵を溶いて準備しておこう」

「そうねルイスの言う通りだわ」

神様たちがシャカシャカと卵を溶いて待ち構える。ふふん美味しいお肉を買ったからね!


お鍋にお肉を入れてさっと焼く。

「さあどうぞ」

神様たちのもぐもぐタイム…。


「美味しいわ!」

「少し赤みが残るくらいで食うのが美味いな!」

「とろける肉の柔らかさ…地球のお肉はすごいですね…」

「ふふっ、カレンちゃんたら美味しいお肉を用意してくれたのね」


 神様たちにも好評だ。奮発した甲斐があるね!焼き目をつけた長ねぎ、しらたき、椎茸、焼き豆腐、春菊をいれて割り下を注ぎお肉を一枚ずつ入れていく。


「煮えたらどんどん食べて具材を追加してね。煮汁が少なくなったら割り下を入れて、煮詰まって味を濃く感じたら昆布出汁を入れて調整してね」

「美味そうだな!」

「オシャスタグラムで見たまんまだよ!」

「すき焼きで忘年会をしようだなんて天才の発想ね!」

「カレンさんは美味しいものを知っていますね」


 みんな褒めすぎ…。

ウィルコはハリウッドスターのオシャスタグラムを見たのかな?

「冬にすき焼きは普通なんだよ」

「カレンちゃんのおもてなしの気持ちが余計に美味しいのよ」

「えへへ、テラ様ありがとう。トマトすき焼きを作っていくね」


 お鍋にオリーブオイルとスライスしたニンニクを熱して香りがたったら玉ねぎを入れて熱する。次に割り下とバジルを入れて沸騰したらトマトを入れていく。私はニンニクを取りださない。だって美味しいから。

 煮詰まってきたら自然とトマトの皮が剥がれてくるので箸でつまんで取り出す。

 玉ねぎの上にお肉を乗せて軽く火が通ったらお肉は食べごろ。玉ねぎは柔らかくなったら食べごろ。


「トマトすき焼きのお肉もいいみたい。蒸した半熟卵で食べるとまろやかで美味しいよ。玉ねぎは柔らかくなるまで待ってね」


神様たちのもぐもぐタイム…。


「これは美味しいですね!」

「甘しょっぱい割り下にトマトの酸味って合うね!」

「シモンさんとウィルコの好みの味だった?」

シモンさんとウィルコが肯いた。


「わかるわ…永遠にお肉を食べるための組み合わせね」

「普通のすき焼きと交互に食べるとトマトの酸味で食欲が進むな!」

ふふっ、また可愛い腹ポコな狼が出来上がっちゃうな。


「東京にあるミシュランのお店のすき焼きね?」

「テラ様も知ってた?」

「ええ食べてみたかったから嬉しいわ」

「〆もあるからお腹を空けておいてね」


 みんなで具材を足したり割り下を足したりしてお鍋が回りはじめたから私も食べようっと、まずは普通のすき焼きから…。


── 美味うまっ!黒毛和牛が美味しいー!


 次はトマトすき焼きを…。

── トマトすき焼きのお肉も美味うま!半熟卵に合うー!


 トマトは熱いから冷まさないと火傷するんだよね…。

── はふ!あつあつ!美味うまー!トマトも美味うまー!


玉ねぎも柔らかくなったかな…。

── 美味しい…玉ねぎも美味しい。


 〆まで食べたいから食べすぎないようにしないと。でも美味しいくて危ない。


「ふう…」

 ゆっくりと味わっていたらルイスとモニカの箸のスピードが落ちてきて用意した具材も無くなってきた。


「そろそろ〆にしてもいい?」

「やった!楽しみだったんだ」

みんなが肯いたので〆るよ!


「こっちはうどんね、私が好きだから今日は稲庭うどん。卵と刻みネギをいれて出来上がり」

「美味しい!」

ウィルコはいつでも大袈裟に喜んでくれるから良いよね!

「うどんなのにすき焼きの味がするわ」

「腹ぱんぱんになるまで食えるな!」


ルイスとモニカはいつも通り。

すき焼きの〆のうどん、美味しいよね。美味うまー!


…みんな食べるの早いな!

「トマトすき焼きも〆るよ」


 赤ワインとトマトピュレを入れてソースを整えたら茹でたてのタリアテッレとバジル、パルミジャーノを加えて完成!


「美味しいわ!」

「うどんより美味しいかも!」

モニカとウィルコはタリアテッレ派。


「私はうどんの方が好みですね、こちらも充分美味しいですが」

シモンさんはうどん派だった。


「俺は両方好きだな」

「私もよ」

 ルイスとテラ様は食いしん坊。

私もいただこうっと…うん美味しい!お店で食べた味に近いよ!



 最後のカットフルーツまで楽しんでもらって大満足のすき焼き忘年会だった。

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