第132話 新しい都市と新しい生活

「ウィルコ、どう?」


 ウィルコが結界のテレビに映像を映した。

映っているのは選挙で当選したソニアさんだ。


「…映った?」

「映ったよ!」


 画面に写っているのはソニアさんの事務所だ。執務室中でソニアさん一家が忙しそうに引っ越しの荷造りをしている。年明けから建設中の新しい都市での活動が始まる。


「ソニアはご主人を理不尽な理由で貴族に殺されたことをきっかけに反政府組織に所属するようになったんだ。一緒に荷造りしている子供達が赤ちゃんの頃の出来事ね」


ウィルコの解説は続く。


「冷静で行動力と説得力のあるソニアは次第に反政府組織で頭角を表すようになって、ここ数年は北西部全体の反政府組織を束ねるリーダーとして活動していたんだ。子供たちは14歳と13歳の男の子。成人前だから一緒に引っ越しするよ」


 建設中の新しい都市は商業都市のロッダム、行政都市のデンハフ、学園都ツクーバの3つ。学園都市ツクーバの建設は後回しになっている

 ソニアさんたちは内陸にある行政都市のデンハフで活動してもらう。商業都市のロッダムは元々何も無かった海沿いに作った都市で、学園都市のツクーバはデンハフとロッダム、それぞれから少し距離がある。


「来週にはソニア一家がデンハフの公邸に落ち着く見込み。残りの半月で新しい生活に少しは慣れてもらえるかな」


 選挙前の1ヶ月で官僚たちの引っ越しを進めてきた。商店にも新しい都市に支店を出してもらったし学校も出来て都市としての形が出来てきている。


「選挙を実施する案内を出した時に当選後にやる事を公開していたし、立候補の時点でざっくりとした行動計画表を出してもらっていたから公務で戸惑うことは無さそうだね」


 それらを実践する為に、まずは副大統領の指名から始めることになる。ソニアさんはどんな組織を作っていくのだろう。



「あと僕の好みで商業都市のロッダムにはハンバーガー屋さん、行政都市のデンハフにはホットドッグ屋さんを誘致するよ。学園都ツクーバの名物はピッツァにしたいな!」



 アメリカかぶれなウィルコの思い通りに行くかどうかは分からないが名物が出来るのは良いことなので見守りたい。


 テラ様にコーラのレシピを教えて欲しいと食い下がっていたけど断られたみたい。そこは自力で頑張れウィルコ!

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