第118話 ぬいぐるみ

発送連絡のメールを受信した。


 ふふっ、嬉しいな。あらゆる角度から撮影した画像を送ってルイス狼とモニカ狼のぬいぐるみをオーダーメイドで作ってもらったのだ。ルイス狼もモニカ狼も激カワだから期待しちゃうよ。


 昼過ぎ、結界に段ボールが届いた。

段ボールに動物がプリントされていて箱まで可愛い。開封してみると体長40cmほどのハスキーっぽいぬいぐるみが2体入っていた。ウィルコと一緒に取り出してテーブルに並べるとルイス狼とモニカ狼が寄ってきた。


「姉ちゃんに似てるな!」

「ルイスが小さかった頃を思い出すわね」

ルイスとモニカも気に入ってくれたみたい。


「そっくりで可愛いよね!このお手手も尻尾も耳も全部可愛い〜」

大満足のクオリティだ。これは喜びのクチコミを書き込まないと…。


「カレンはそんなに俺たちのことが好きなのか!」

「私たちもカレンを可愛く思っているのよ」


どす!

どす!


 それは嬉しいな〜!なんて思っていたらルイス狼とモニカ狼に前脚でお腹を踏みつけられて逃げられない状態で爆舐めされた。



 無言の私をウィルコが大きなタオルでゴシゴシしてくれた。

「今日の爆舐めはカレンが招いた事態だと思うよ」

「うん…」

私もそう思うよウィルコ。


「これはカレンのベッドに運んでやろう」

「そうね、抱いて一緒に眠るといいわ」


 ゴシゴシしてもらっていると、ご機嫌なルイス狼とモニカ狼が尻尾を振りながら自分そっくりなぬいぐるみを咥えて私の部屋に運んでいった。


 リビングにディスプレイするつもりだったのに『一緒に眠るといいわ』とか『群れっぽくなるからカレンも安心して眠れるな』とか言われて断れなかった。

 中身は40代の大人だし、群れで生活する狼じゃないんだけど、ぬいぐるみといっしょに眠ることになった。


 抱いて寝てみたら、ぬいぐるみと一緒に眠るのも悪くないと思ったのは内緒だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る